新規開拓ボランティア隊 FILE2

2001年7月5日都内某所。 さて、『新規店舗開拓ボランティア隊第』2回目の活動報告です。 今日もコーちゃんにお電話ですよ。ピポパ。

「もしもしコーちゃん？。トモちゃん。金ないけどメシ食わしてくれプリ−ス。」

そんなかんじで最寄駅でまちあわせっすよ。

「トモちゃん、お待たせ。どうでもいいけど君どうして手ぶらなの。」

「ナニいってるのコーちゃん。一応私、尻バック持ってるっしょ。家の鍵と携帯電話が入ってるよ。 {{gradient('携帯料金払ってなくて止められてるけどね。アハハ！！',20,20)}}Hiki::PluginException (not plugin method): inline plugin
」

コーちゃんうんざりです。

そんな私達が向かった店は、おばあちゃんがきりもりしている店『M』。 なんでも昭和25年からあるらしいですよ、ココ。 小さな店で、カウンターしかありません。しかも10人も入れ一杯いっぱい。入ってみると、すでに常連のおじさん達が4人いました。 とりあえず、東京は今日も熱帯夜。

「えーと、生中2つください。」

「生中？何かしら？それ？」

「ココは生ビールおいてないのよ。ビンしかね。」

おばあちゃんの今後の日本の福祉には頼らないわよ的発言にビビル私とコーちゃん。

「じゃあ、ビンで下さい。」

コレが屈辱というものなのでしょうか。

どうでもいいですが、おばあちゃんビンビール冷蔵庫から出してますよ、家庭用冷蔵庫。 私の家の冷蔵庫と同じ大きさのもので、それの野菜用引出し（3段階の冷蔵庫の一番下）からだしてますよ。 しかもここのメニューをみて、またもやびっくりする私達。

• モツ煮込み　・・・・　300円
• レバ刺し　・・・・・　300円
• ハツ　・・・・・・・　300円
• 子袋　・・・・・・・　300円
• えだまめ　・・・・・　200円
• トマト　・・・・・・　200円
• 冷奴　・・・・・・・　200円
• モロキュウ　・・・・　200円
• お新香　・・・・・・　200円

以上。

メニュー全部覚えてしまいましたよ。っつーか栄養は？ マクドナルドもびっくりの価格破壊です。 やれイタリアンフェアーだの韓国風ナントカだの、試行錯誤は一切せず、

「うちの看板はモツ煮だから。戦後からコレ一本よ。」

お母さんのお言葉通り、潔いチョイスです。 とりあえずメニュー片っ端から持ってこい！！といいたいところをぐっとおさえて、まずはその煮込みとレバ刺しと冷奴を注文しました。 モツ煮込みは本当にモツオンリーで、こんにゃく等でカサを稼いだりはいっさいしない仕事ぶり。 ボールを手渡されました。はて？中には大量のねぎのみじん切りが。ああ、自分で好きなだけかけろってことですね。潔い。

「イッパイかけたほうがうめえよ！」

常連のおじさん達が優しく伝授してくれます。 私たちみたいな見るからに新参者にもすごく優しくしてくれます。

「べっぴんさんが来ると、店が華やかになるね。」

さすがおじさん年の功。

「コーちゃんどうよ。さすが人生経験つむと言う事に重みがあるよネ！」

「・・・つーか、あのおじさんもう老眼で、染色体見分けるのがいっぱいいっぱいなんじゃないの？」

相変わらずムカつくアラブ人です。（おごってもらってこの態度） レバ刺しが出てきました。

皿の中は地の池地獄です。猟奇殺人事件並みのド迫力の出血に、さすがのトロちゃんもヒキ気味です。

「・・・潔い・・・」

もう呪文のように繰り返すしかありません。 でもね、こんなに安いから冷凍物のまずいやつかとおもいきや、とっても新鮮で、血の色も赤々してましたよ。 たった今ハラかっさばいて取り出したてのほやほやのレバーよと言わんばかりです。ヘルプミー。 その後も切ってさらに盛っただけで何の飾りもない冷奴とか、きゅうりを４つにぶった切っただけででかすぎるモロキュウとか、私達の考える外食産業をあざ笑うかのようなメニューに、戦後を支えてきたたくましさを感じました。ここは闇市？ しかもこの店、飲み物のメニューもすばらしいです。

• ビール（大ビン）　・・・・・　550円
• 清酒　・・・・・・・・・・・　300円
• 焼酎　・・・・・・・・・・・　300円
• ウーロンハイ　・・・・・・・　300円
• ウヰスキー　・・・・・・・・　300円

またもやメニューを覚えてしまいましたよ。 なんでもココは炭酸類は置いてないので、ソーダ割系は全無視だそうです。やっぱり潔い。

大ビン3本を即飲みしてしまった私達は次ナニを飲もうかとメニューを見ていたら、コーちゃんがある飲み物に目を止めました。

「トロ吉、俺もパソコン系技術者の端くれ、あの飲み物は無視できないよ。」

「・・・エレクトリカルドリンクですか、先生。」

その店にはあの懐かしの電気ブランがあったのです。 よく名前は聞くけど、こんなところでお目にかかるとは。 しかも相手は創業50年を超えるベテラン。コレは飲むしかないでしょう。古きよき時代の電気ブランひとつ！！

「この店の電気ブランは本物だよ！あの神谷の奴と同じだよ！」

常連のオヤジが誇らしげに語ります。

「3杯も飲んだら足がふらふらになってあるけないよ！」

親父達いっせいにそうだそうだとうなずきます。 はーそうですかとか言いながら、コーちゃんは2杯ほどをあっという間に飲んでしまいました。 この男、ここに来る前にレストランオープニングパーティーのワインテイスティングで、タダで飲みまくってきたはずなのに・・・。 でも3杯目を頼まなかったのは、奴なりの常連さんへ対する気配りなのでしょうか。 その後も秘伝のぬかどこでつけたお漬物に感激したり（マジうまっっ！！）、常連さん達に野球はどこが好きか意見を求められたり、なかなか楽しい時間を過ごしましたが、お母さんご高齢のため9時には店を閉店しました。 散々飲み食いして2人で3000円ちょっと。大満足です。 しいて問題点を挙げるなら腹にたまるもの系はないので、夕食を食べた後に立ち寄るほうがベストでしょう。 かなり飲んだのですが、9時という時間が私達を満足させるはずもなく、その後もちろんもう一軒行きました。 そこはよくいくショットバーです。若い人たちに混じって飲んでいると、今日行った店がまるで夢みたいに感じました。 あの店はいつも夕食を食べ終えた近所のおじさん達の憩いの場だそうです。日曜日の6時過ぎなど、いっぱいで入れなくなるそうです。

「だからね、5時過ぎには来なよ。そしたら座れるよ。」

「定休日は木曜日だからね。気をつけてね。」

「お母さんもう年だから、注文は大きな声で言わないと聞こえないんだよ。」

常連さん達が口々に教えてくれます。 なじみのお客で埋め尽くされる店ですが、新参者にもすごく優しい、若い世代と先輩世代が仲良くのんびり飲める都会のエアポケットを見つけました。

本日も当り。

そろそろ失敗も引きたいところです。（複雑）