新規開拓ボランティア隊 FILE4

2001年7月23日都内某所。 えー最近我隊へ入隊希望の方が続出でいらっしゃいます。ウソです。ほんの数人です。続出するそんな日まで、われわれはがんばって行こうと誓っております。そんなわけで本日も、【新規店舗開拓ボランティア隊】の出動です。 東京にお越しの方、はたまた東京にいながらして毎日を平和に過ごしていらっしゃる方。 そんなかたがたに一時のスリルと地獄をお見せすべく、行ってまいりました第4回活動報告。（もうすでに趣旨が違う） 結果はっぴょーーーーーーーーーーーー・・・・・・・

あんな店二度と行きません

お待たせいたしました。 コーちゃんも、友人何人かの人に

「そろそろ失敗が欲しいよね。」

と無責任なプレッシャーをかけられていたそうですが、そのためにもヤツは今回体を張りました。 いっそ死んでくれれば英雄なのにというほどの活躍です。 今回ワレワレが目指したのは、水商売+風俗ビルにある食堂『　F食堂　』。 道端に看板はあれどビルのどこにも目印の無い、もうただのオブジェと化す看板を目ざとく見つけたコーちゃん。 2人でキョロキョロしていると、見かねた看板もちのおじさんが

「このビルの3階だよ。」

と教えてくれました。ありがとう親切なおじさん。 【90分素人同然の甘えッ子が大胆サービス】の看板が光っていました。甘えッ子ってあんた・・・ 気を取り直してウソウソ元気でGO！！ ビルの入り口は風俗店にありがちの、テント素材のムラサキの洞窟が口を開けています。

カワグチ隊長お先へドウゾ！！

しかしカメラマンも照明さんもいない電波少年スタッフ構成以下のワレワレは、手と手を取り合い力なく一歩一歩進みました。 洞窟奥にある1階の店舗は、重厚な扉に閉ざされた未知の空間、知りたくも無い世界。 看板は無いが入り口に監視カメラはあるという、なんだかすごくピンポイントな店構えにビビリつつ、奥の階段を上ります。 2階はありがちなスナック。中から大音響なのに何の歌かサッパリ分からないカラオケがもれて来ています。 逃げるように3階に到着。 やはり重厚な木の扉に看板なし。覚悟していたとはいえあんまりな店構えに、心の中で十字架を切る私。幼稚園の頃覚えた『主の祈り』がかけめぐります。まさかイエス様もこんなところで頼りにされるとは思ってもいなかったでしょう。 もうシャブ漬けにされてただ同然で風俗で働かされて再利用で海外に売られるという、自分のリサイクル人生が瞬時のうちに浮かびました。 人は死ぬ直前に過去の人生を走馬灯のように思い出すといいますが、未来の人生を瞬時に駆け巡らせたので、きっと命は大丈夫でしょう。 思い切って扉オープン！！

アイタタタタタ・・・・・。（店内は狭いので音声を小さくしてお届けいたします）

中はスナックのようでした、10年前に閉店した。 カウンターを占領する少年ジャンプ3年分。壁にかかったお経のようなメニューとなぜか社訓。訳のわからないでかい扇と市松人形。 それら全てに平等に降り積もるホコリ。 4人席が3つの狭い店内のうち、すでに2テーブルには先客が。 奥のテーブルには

『祭り上等』

と染め抜かれたハッピを着る推定年齢30代前半の酔っ払い茶髪チンピラが、

まるまる太って黒いミニドレスを身にまとった視覚的に非常に迷惑な女性とヒソヒソと話しています。

手前のテーブルには163cm130キロの引きこもり風メガネ。黙々ととんかつ定食を食べています。 『千と千尋の神隠し』舞台挨拶でもココまで迫力は無いでしょう。

「いらっしゃ〜い・・・・なんにしやすら・・・・」

誰よりも酔っ払っている大将がカウンターの奥から出てきました。ハッッ！！ひょっとしてラリってるの？！ 一応食堂と名がついているだけあって、普通の居酒屋メニューに定食メニューも充実しています。 でもこんな状態でモノを食べることになれていないベルサイユ育ちの私は、無言でコーちゃんにバトンタッチです。

「えーっと・・・焼きサバ定食ください。あと手羽先から揚げ。」

そうですね、この場合火を沢山通すのは基本中の基本です。

いっそのこと炭を食ってもいいくらいです。

後はアルコール消毒でバッチリ。生中2つ下さいな。

「あ、それとカツオの刺身も。」

マジで？コーちゃん、この地層のようなジャンプとホコリが見えないの？ まあいいでしょう、私は絶対食べないけどね。 出てきたカツオの刺身に絶句。

え？これキャラメルコーティング？

あめ色のカツオの刺身をはじめてみました。しかも謝罪か口封じの意味かタコの刺身が3切れ。 コーちゃんのお命はタコ刺し3切れの値打ちらしいです。まあ妥当だな。 でもひょっとして新種のカツオ？2切れほど続けてヒョイヒョイ食べるコーちゃんを良く見ると、イヤな汗かいていました。ガハハ。 隣で視覚的迷惑女とインディーズやくざがいちゃいちゃしだしました。 もともとわかない食欲が星屑となって粉砕されました。ここに夏中通えば秋には拒食症になるでしょう。イヤ盆までかな。 反対側の隣はジャンプを読みふけっています。『スラムダンク』。え？！何年モノ？！！ 新規の客が珍しいらしく、一番酔っ払っている大将が焼酎をドボドボジョッキに注いでくれます。え？ストレートでですか？ でも氷なんか入れてもらったらそれこそ食中毒で死にそうなので、がまんがまんで飲みました。 突然扉が開き、場末のスナックのママみたいな人が現れました。

「オリーブちゃ〜ん。ヘルプ〜！」

・・・なんの呪文ですか？（ってゆうか殺していい？） はーいとかいいながら名残惜しげに視覚的迷惑女が出て行きました。

どうやらすごい呪文だったようです。

オリーブちゃんをなくしたチンピラが、大将と一緒になって自分のキープしたボトルの酒を私のジョッキに注ぎだしました。 ヒィィィィィ・・・・コーちゃんギブギブ。 いつのまにか私より隣のヒッキーに近い位置で、比較的まともな焼きサバ定食をモクモクと食っています。 分かったよ相棒よ。 私がここでザコキャラを引き止めておく間に、あなたはそれを食べ終わってください。そしてココを2人で生還して見せようじゃないですか。 高速で食べるコーちゃんごまかしごまかし飲む私。 ライブで繰り広げる九死に一生スペシャルに、心配そうに見ている観客の幻影が見えた時、間一髪でコーちゃんが食べ終わりました。 っつーか遅すぎ。 ひきとめるザコキャラを振り払いつつ、逃げるように店を出ました。 長く感じましたが実は1時間ちょっとの地獄絵図。

店を出て別の店で飲みなおしました。今いた店を忘れたいようにむりくりはしゃぐ私たち。 嫌な酔い方をしたのは言うまでもありません。

後日記憶の無い私に丁寧なコーちゃんの記憶補強メール。

帰り道商店街のアーケードを大手を振って歩くトモ吉。 途中のゲーセンに寄りピンボールみたいなゲームで景品が出るやつを突然やり始める 両替して一気に 600 円ほど使ったところで店員にトモ吉懇願。 「あのクーちゃんのライターが欲しいねん！チョーダイ！チョーダイ！チョーダイ！」

店員は冷静にゲームで取れと指示。 トモ吉 イキナリ 2 階に上って店長に交渉開始。

「あのクーちゃん欲しいねん。チョーダイ！チョーダイ！チョーダイ！」

ウンザリしたオレは放置プレイでそのゲームを続行。

あきらめて降りてきたはずのトモ吉また 2 階へ行って再度交渉。 5分後なぜかお菓子を片手にご満悦で降りてくる。 お菓子でごまかされた様子。 1000 円使い切ったところで帰る

途中のセブンイレブンで

「アイス食いたい！アイス買って来い！『アイスの実』がいいねん。」

品名まで指示しておきながら、買ってきた俺に一言。

「食べたいアイス無いねん。なやねん！」

無理やりさしだすと

「ぶどう味食べたいねん。ぶどう以外はあげるわ。」

と、俺の支払いを無視の殿様発言。 ぶどう味を口に含むも直後に発射。俺の腕に『アイスの実ーぶどう味』命中。

「うん。まだまだ腕は鈍ってないな。今日は解散！！お疲れ！！」

満足そうに帰っていきました。

結構平和なオチでしたね。

よかいちよかいち。