新規開拓ボランティア隊 FILE1

2001年6月28日都内某所。

今日は先日予告したとおり、新規店舗開拓ボランティア隊第1回目の活動を行いました。 流行ってなさそーな新規店舗を開拓し、その店に売上をもたらしつつなぜ流行ってないか検証するという、誰も知りたくもなければ何の役にも特にもならない調査です。

ええ、もちろんコーちゃんと。

友達少ない非社会的デュオです。レッツゴー！！ まず、どんなやばい店にあたってもいいように、最初にラーメン屋さんで腹ごしらえしていきました。

ここでは水もビールも飲まないでラーメンを食べきり、お店で最初のビールを味わおうという作戦です。

ビールなら味も値段も一緒なので、初めての店でも安心安心。その上ビールがウマイ！！ そんな作戦で私達が第1回目の店として白羽の矢を立てたのは、老夫婦が切り盛りするカウンターしかない小さなお店『S』。

まったく客のいないカウンターの中に座っているその夫婦は、二人そろって店の天井近くに備え付けられたテレビを、口をあけて見上げていました。

もうこの時点で、なぜ閑古鳥が鳴いているのか説明できてしまうようなダメダメムードですが、一応舌でも味わっておくために店内へGO！！

まずはビール。

先ほど我慢していただけあって、すごく美味しく感じました。 エビスの生です。いいじゃないですか。 お通しも、おばあちゃんのお手製らしいポテトサラダ。なつかしい味がして、悪くないですよ。

むしろグッドです。

メニューも決して多くはないですが、おふくろの味系でよさげです。

「えーと、かつおのたたきとえだまめ、それとう巻きね。」

「はーーーいーーーーー。」

そのまま息絶えてしまいそうなおばあちゃんのスローモーな返事。大丈夫？ さすがに製造年月日が古いせいか動きも味のあるゆっくりさで、生中飲み終わってもまだ何も出てきません。 ネジに油さしたほうがいいのかな？ やっと出てきたのが刺身の盛り合わせのようなもの。かつおのたたきなのに豪華ですね。

「あの・・・かつおのタタキは・・・・」

「ああ、終わっちゃったんですよ。」

先に言ってくれよ・・・。

いきなり{{font_color('代打を送り込んできた名監督','red')}}Hiki::PluginException (not plugin method): inline plugin
。なかなかあなどれません。 そして続いて{{font_color('そらまめと普通','red')}}Hiki::PluginException (not plugin method): inline plugin
の{{font_color('だしまき玉子', 'red')}}Hiki::PluginException (not plugin method): inline plugin
が出てきました。

コーちゃんはだまって出されたものを食べています。あんた男だよ。 熱燗を頼みました。

またおばあちゃんが壊れかけのレディオばりのゆっくりさで運んできました。あつくないんじゃん。 受け取ったらあまりの熱さにやけどしそうでした。 ここがマクドナルドなら訴えてやるのに・・・。 しかしおそるべしおばあちゃん。熱ささえもゆっくり脳に届くようです。 その後も豆腐サラダがただの冷奴だったり、シャケ茶漬けが海苔茶漬けだったりと、ビミョーに落とすフォークのような接客を受けましたが、値段も味もそこそこだったのでいい思い出になりそうです。 おじいちゃんのほうはピクリとも動かずずっとテレビを見上げつづけ、ジャニーズ系の男の子が出てくると、

「きれいじゃのー。」

と、何回もつぶやいていたのが印象的でした。 2時間ほどの間ほかのお客はまったくこず、かといって老夫婦はマイペースでテレビを見ていたので、私とコーちゃんは結構ゆっくり出来ました。 帰るというときになって、やっとおじいちゃんが私達に話し掛けました。

「すいませんが、テレビのチャンネル変えてくれませんかのう。リモコンなくしてしまって・・・。」

180センチ以上あるコーちゃんには簡単な仕事でも、小柄な老夫婦にはチャンネルを変えるのも一苦労なのでしょう。 コーちゃんはチャンネルをゆっくり回しながら選ばせてあげたので、大変喜ばれました。 今日はおなかにゆとりもあったし、おいしかったので満足しましたが、きっとおなかがすいたサラリーマンとかだったら、あのスローモーな動きとフォークのような接客に怒りを覚えてしまうのかもしれません。 ソレがいまいちはやってない理由なのかな。 でもあの雰囲気も、味といえば味ですしね。 長寿大国日本。

「なんだかおばあちゃんに会いたくなったよ。」

コーちゃんの一言に、 もうおじいちゃんもおばあちゃんもあのテレビより高いところに行ってしまている私は、 ちょっとうらやましくなりました。

帰り道振り返ると、おばあちゃんがもうのれんを店の中に入れて、店じまいしていました。

このお店には多分また行くと思います。