非日常の風景〜会津の旅2日目

せっかく温泉旅館に来たんだから、別々に入ってばっかりも楽しくない。

そんなわけでお宿選びも温泉を貸切に出来る所を選んだ。

私たちが泊まった宿は男女ともに小さな内風呂と露天風呂がある程度。

夜になると小さいほうの女風呂が家族風呂となって貸切となる。

本当は夜中に入りに行きたかったんだけど、寝ちゃったので明け方5時ごろ入りに行く。

一応ビールを持って入って、小さい露天風呂ながらももちろん2人で入るには充分すぎる大きさで、贅沢気分でつかってた。

もっとゆっくりしたかったんだけど、超早起きのオバちゃん軍団がやってきて入りたそうに鍵のかかった扉をガチャガチャしだしたので、私たちも早々にあがる事にした。

来年はもっとお風呂数に余裕のある露天風呂で、ゆっくり桶酒をしようと誓う。

いつも朝食は取らない彼だけど、旅館の朝ご飯は楽しみらしい。

うちの朝食はボリュームがあると仲居さんも自信まんまんだ。

さっそく席につくと、モロヘイヤのおひたし、ひじき、煮物、のりの佃煮、梅、おしん香、アサリの味噌汁が湯気を立てている。

囲炉裏では大ぶりな塩シャケがいいかんじに焼きあがっていた。

たしかにボリュームがあるねとか言いながら食べてたら、でかい手作りコロッケとサラダも運ばれてきた。

さすがに私はコロッケを少し残してしまったが、彼はぺろりと食べて嬉しそうにしている。

食後に出されたコーヒーのカップが、まさに今日私たちが行こうとしている釜で焼かれたものだった。

私の中の芸術家魂が騒ぎ出した。ような気がした。

部屋に戻りチェックアウトまでの間、彼がガイドブックに載っていたホテルに今日の予約を入れる。

繁華街が近いのと1階にビリヤード場が入っているのが決めてだったらしい。

チェックアウトして、ブラブラ坂道を歩きながら、一番近くにある武家屋敷へ見学に行く。

しかし本日は久しぶりの晴天。アツイ。

しかも旅というものは、不思議と1日目より2日目のほうが荷物が重い。肩に食い込む。

見学せず土産物屋をひやかしたり、駐車場に出ている売店でカキ氷を食べたりしていると、ちょうど市内を周遊しているバスが来た。

何も考えずとりあえず乗り込んでみて大正解。

バスの中には周遊する観光地の分かりやすいマップと、バスの時刻表がついていた。

私たちが行きたかった白虎隊のお墓のある山は、その武家屋敷からバスで5つほど言った所だったが、残念ながらバスはちょうど逆まわりに行くものだった。

5分で行く所が1時間近くかかってしまう。

でもこれに乗ってよかった。

バスは会津の見所にばかりに停留場を儲けた【ハイカラさん】という観光目的のもので、市バスとは少し違うルートをたどる。

私たちは簡単なガイドをききながら、先に会津の町をバスの中からダイジェストに観て回った。

地図と見比べて、あらかじめ行きたい場所と位置を確認する。

バスの中から観るだけでもガイドブックより分かりやすくて、私たちは目的地を絞ったりした。

そして【ハイカラさん】のおかげでもう一点助かった事があった。

ガイドブックで会津市内観光用にレンタサイクルがあるということは確認指していたが、この【ハイカラさん】ガイドによると市内には4箇所のレンタサイクルの場所があって、どこで借りてどこへ帰してもいいらしい。

しかもちょうど白虎隊のお墓のある山のふもとにその1箇所があった。

よくよく読むと、鶴ヶ城のなかにあるレンタサイクルには20台の在庫があるが、他の場所は5台づつしかないという。

慌てて書いてある電話番号にかけて2台キープしてもらう。さらに荷台用のカゴがあることも確認する。

これで重い荷物からも開放された。

無事自転車を借りた私たちはさっそく白虎隊の墓と資料館を目指す。

といってもすぐ目の前。時間は12時をとうにすぎていたが、朝ご飯をガッツリ食べた私たちは先に観光する事にする。

山といってもお墓があるのはほんの丘の上くらいの距離で、多分江ノ島の半分くらいの距離だとおもう。

山のふもとの土産屋では無料で荷物も預かってくれる。あとで何か買わなくちゃいけなくなるかもしれないけれど、荷物の重さには負けて預ける事にする。

首からデジカメをぶら下げ、彼のリュックにお財布とインスタントカメラを入れて出発。手ぶらでラクチン。

坂を半分くらい登った所に白虎隊資料館があったので、先にそちらを観る事にする。

なかは狭くて古くて、微妙にちゃち。

展示物半分、もう半分は意味なく作られた決戦のジオラマや、入水訓練する白虎隊とかいう模型を見る。ちゃち。

ちなみに日本最古のプールは、白虎隊の入水訓練用の施設らしい。ほんとかな。ほんとうなら45へーくらいだと思う。ちなみにタモさんは押さない。

2階では、10分ほどの白虎隊アニメが随時上映されているというので見に行く。

これがまたビックリな超ちゃちアニメ。

動画というよりほとんど静止画の紙芝居のようなアニメ。しかも絵が私でも描けるようなヘタクソな単純さ。

声の吹き替えも、きっとボランティアの人がやっているのだろう。びっくりの棒読み。

これがホント面白くて、悲惨なシーンになればなるほど棒読みが際立って、最後の自刃のシーンではもう少しで噴出してしまうところだった。

白虎隊の皆様ごめんなさい。でもわーて。わーとか棒読みでいってるの。わーもーえーてーるー。（←棒読み。そりゃないぜ。）

資料館は600円くらいで、違った意味で楽しかった。

そのあとお墓ヘむかった。

お墓のある場所から少し脇にそれた所に、白虎隊が自刃した場所があった。

100年以上も昔、まだ高校生くらいの子供たちがこの場所からお城を見つめ、絶望し、自刃したんだ。

そう思いながら見下ろした会津の町は、切ないくらい平和でのどかだった。

大きな杉の木が1本立っていたせいだろうか、どんなに目を凝らしても鶴ヶ城を確認する事が出来ず、やっぱり平野がのっぺりと眼下にひろがっていた。

歴史でしか知ることの出来ない彼たちは、いったいどんな子達だったのだろう。

多分誰かをものすごく好きになったり、その願いが叶った幸せとか、そんなこと一切知らずに死んでいった子もいたんだろうな。

いろいろな事を知らずにこの世を去った事は幸せな事なのか。そうでないのか。

あなたたちが愛した会津という町は、今日も平和でなかなか美しいですよ。

安らかに眠ってください。

丘の上は真夏の光にまぶしく包まれて、大きな杉の木が沢山のセミを抱えて一緒に町を見下ろしていた。

白虎隊資料館の奥に、彼も楽しみにしていたサザエ堂があった。

このお堂は中が螺旋状の坂になっていて、登る人と降りる人がすれ違わないつくりになっていた。

外から見るとサザエのような奇妙な形をしていることからこの名前がついたらしい。

登っている間も誰かがバタバタと降りる音がするんだけど、やっぱり誰ともすれ違わない。直径3メートルほどの小さなお堂なのに本当に不思議で、なによりもこれを作った人はナゼこんなデザインにしたかが謎だ。

あっという間に登ってあっというまに降りてきたんだけど、なんだかとても満足した。

山を降りて土産物屋に預けていた荷物を受け取って、ごまかすようにお茶を1本買って、自転車にまたがったらもう2時を回っていた。

陶芸は1時間ほどかかるらしいし、4時までと聞いていたので慌てて向かう。

途中駄菓子資料館でチョッピリ寄り道したり、彼がそこでチョコレート型のパズルに夢中になって自転車の鍵を無くしかけて焦ったりしながらも、なんとか3時前に釜に到着した。

まずは作品を売っている小奇麗なお店に入り、感じのいいお姉さんにそのむね伝える。

ほどなく私たちの先生となる人がやってきた。

怖い。スゲー怖そうな顔した人が店の前でスタンバってる。微妙に睨んでる。

遊びじゃないんだ！！とか言ったり、せっかく作った作品を気に食わん！！とか言いながら割りそうなオヤジだ。イヤ、アイツなら絶対そうするはずだ。

チェンジチェンジとデリヘルルールを持ち込もうとしたがダメ。

おそるおそる挨拶をすると、ビックリするくらい気さくな人だった。助かった。びびらすなよ。

店から少し離れた所にある釜へ向かう。

料金は使う粘土の量によって決まるらしい。何が作りたいか聞かれる。

私は花器。彼は日本酒用のカタクチ。

粘土はしっとりひんやりしていて気持ちいいが、あんまり触ると乾燥するからダメらしい。

先生が説明する間は粘土に触れず、極力触りっぱなしという状態を避ける。

私は船のような形の花器を作りたかった。彼は普通のコップにみぞをつけただけのシンプルなカタクチを考えていたので、コリャ私のほうががんばらなければと張り切っていたんだけど、実際は彼のほうが作るのが難しく、先生は彼にかかりっきりで私は微妙にほったらかしだった。

寂しかった。

「うんうん、うまいですよ。ゆっくり伸ばして第一段階の高さまで持っていってください。」

「難しいなあ・・うわあ・・・」

「大丈夫ですよ！ロクロをゆっくり回して！！うまいうまい！！」

「そうですか？いやあうまくできないなあ・・」

「そんなことありませんよ。なかなかセンスがある！」

「あのう・・・先生、私は・・・」

「あなたはノビノビと伸ばしていてください。」

「・・・はい。」

褒めて伸ばす系の先生らしく、私もいっぱい褒めて欲しかったんのに先生は彼を力いっぱい褒めていた。くやしい。

わざと難しいなあとか言いながら先生の気を引こうとしたんだけど、ちらりとこちらを見た後がんばって！とにこやかに言われただけだった。あいつホモ。絶対ホモ。

彼はシンプルな形にしたかったそうなんだけど、先生の勧めもあってカタクチを持ちやすいように手に力をいれて軽く握り、指の形を食い込ませていた。

私もそのほうがいいじゃんと賛成。もしもあなたの身に何かあったら、このカタクチに石膏流し込んで手の形の像を作るよと言ったら、縁起でもない事言うなと叱られた。でも作るもん。絶対。

できた作品は乾かしたり何度も焼いたりして、送られてくるのは1ヵ月半後。10月頭。

その頃はすっかり忘れてますよと先生は嬉しそうにガハハと笑った。陶器みたいな歯だった。

彼が多分嫌がるだろうから、わざと裏にLOVEとか彫ろうかと思ったんだけど、自分自身の精神的ダメージを考えてもそこまで捨て身になる必要はないなと冷静に判断し、日付と名前にとどめた。大人大人。

釜を出たら4時過ぎ。

とりあえず宿に一番近いレンタサイクルの拠点という事で、鶴ヶ城へ向かう。

途中夕立にあい、ずぶぬれ。

お城についたときには又太陽が出ていたので、なんとか洋服は乾いた。

会津の町を夕立に遭いながら、彼の背中を追って自転車をこいでると、なんだか地元民になったみたいですごく楽しい。

会津に行く方には、ぜひともこのレンタサイクルと【ハイカラさん】のフル活用をオススメします。

さて時刻は夕方。さすがにおなかが減ってきた。

でもね、ここでガッツリ食べちゃうと夕飯に響きます。

そこでお城の中の売店で、とりあえずアメリカンドックと串に刺さったタコヤキを買う。

城内はアルコール禁止。よってお茶のみ。ファッキュー殿様。

下克上をもくろみながら、かわりに食後のソフトクリームでノドを潤し、てくてく歩いて今日のお宿へ。

炎天下30分ほど歩いたため汗だく。

ついてすぐシャワーを浴びスッキリした所で、チェックインしたときに貰った生ビールのタダ券を握り締め1階の喫茶店へ。

ビールを飲みながら夜の散策場所を検討した。

この近くに七日町通りという七日町駅へ続く道があって、ガイドブックによるとどうやらそのあたりがオススメらしい。

とりあえず時間がまだ6時前という事もあり、ビリヤードをする事に。

しかしココのビリヤードが酷かった。

ラシャははげてるし、キューもまがってるし、そもそも台が曲がっているようにさえ見える。

その上クーラーが効かない。ナニソレ。

せっかくシャワーを浴びたのに又汗をかきそうになったので、1時間もしないうちにやめた。

七日町通りをブラブラと駅の方向へ向う。

知らない町の夕方。夕立の後の少し湿った空気を吸うと、なんだか切ない気持ちになるなと思いながらもおなかはグーとか言ってる。NOロマン。ギブミー酒。いや、まず先にメシ。

しかし。しかしです。

この七日町通りが、ガイドブックの割には何も無い通りだった。

あったのはワッパ飯屋と豆腐料理屋。

あのね。ワッパ飯。豆腐料理。どっちも好きですよ。観光客にいいかもしれませんよ。

でもね。私たちは地酒と地元の人たちが食べてるおいしいものが食べたいんですよ。

なんですかこの豆腐料理の店。子供が書いたようなポスターが店の前に貼られてますよ。

「ひとはみんな　なやむもの　このみせで　かたりあおう。

　ひとはみんな　ひとりじゃない　このみせで　わかちあおう。」

そしてその下にはヘタクソな仏様らしきイラスト。

やばい。やばすぎる。

私の中に神様盲信電波がガンガン響く。会津に来てまで悟りたない。諭されたないんじゃ。

ムキョー、こんな所に来てまで戦いが・・・と騒いでいる私の腕を彼がさっさと引っ張り歩き出す。

結局この通り、店が四件ほどしかなくがっくり。

とりあえず七日町の駅まで着いたので、電車に乗って隣の会津若松まで行くか、もしくは目の前のタクシー乗り場で運転手さんに聞くか。

時刻表を見るとちょうど30分に1本の電車が付く頃だったので、とりあえず電車に乗る事にする。

会津若松もそれなりに寂しい町。

とりあえず駅前に1件店を見つける。

地酒は豊富そうなんだけど、やたらと店内が明るい。昼の蕎麦屋みたいな感じで、おばちゃんとかが定食のようなものを食べている。

ここでもいいかと言う彼にわがまま言って、まだ探す事にする。

大通りに出て歩く事15分。

目の前に道路を挟んで向かい合う店2件発見。

どっちにしようか迷うが、店の前にメニューを沢山出している店のほうに入ってみる。

店内はなかなか広く、2階席もあるようだ。

1階席は8人ほどのカウンターと、6人ほど座れる座敷席が5つほど。

店内は地元のサラリーマンで1階も2階も満員。当たりの予感。

なんとかカウンターの片隅を陣取って、さっそく名物馬刺しとその日のオススメ米ナスの田楽をたのむ。

まずビールで乾杯しのどを潤し、早々に冷酒にとりかかる。

馬刺しは冷凍物ではなく、綺麗な赤のとろりとした1品。

お皿の端に味噌がもってあり、それを小皿に入れ醤油で溶かしながら食べてくれとのこと。

この味噌が。絶品。

ニンニク唐辛子味噌。

昨日旅館で食べたニンニクの効いた醤油もおいしかったけど、このニンニク唐辛子味噌は絶品。

まずのどの奥に来るようなニンニクの香りと唐辛子の辛さ。それをぬぐうようにねっとりと甘さのある馬刺しがノドを通過する。

それでも残る辛さとニンニクの匂いを、よく冷えた辛口の日本酒で洗う。

ニンニク唐辛子味噌のおかげで、日本酒がいつもより口内に甘く広がり、飲み込んだ後ノドが熱く、でもサッパリとした後味となる。

馬刺しも本当にやわらかくて、1皿1000円は安いと思った。

日本酒は3種頼んだ。

今回すごく沢山の種類を飲んだため、どれがどれか分からなくなったのは残念。

このときは2人で気に入った地酒を、彼は吟醸酒を、私は升酒で飲んだ。塩を盛ってきゅっと飲むとすごくおいしい。

そして馬刺しを食べた後は、ニンニク唐辛子味噌をなめながら飲んだ。

これだけで充分飲める。一晩中でも飲める。

このあと牛タンの刺身があったので、めずらしいから頼んだらやっぱりこの味噌で食べるものだった。

これもおいしかったけど、少しアッサリしすぎていたので味噌に負ける。

やっぱり馬刺しのほうがおいしかった。

米ナスもとても大きく、田楽用の赤味噌もコッテリしていてとてもおいしい。

何を頼んでもいちいち日本酒に合うのがうれしい。

すぐ後ろの席のサラリーマンたちがすごく楽しそうで、男ばっかり8人ぐらいで鯨の交尾を熱く語ったり、何を食べたら元気になるか殴り合い寸前まで議論しあったり、最近女房としてねぇよとかいうおじさんを皆で全力で慰めたり、その後皆でしょんぼりしたり、何度もお酒をふきだしそうになった。

彼があの会社に入社してぇとつぶやく。

そんな彼もこの店でやっと念願の岩魚の骨酒にめぐり合う。ニコニコして飲んでいるので一口貰った。

よく焼いた岩魚に甘めの熱燗を注いだようなもの。香ばしさと甘さがとてもよくあっている。

地元のお店が狙い通りとてもおいしかった事に味をしめた私たちは、次の居酒屋を目指す事にする。

ほろよい気分で初めての町の知らない大通りをフラフラ歩いた。

途中神社を見つけてよって行こうとしてお賽銭用の小銭が無くて引き返したり、めいっぱいお洒落ぶってる多国籍料理屋を覗いて地元の若者と目が合ったり、合言葉は地酒の豊富な店と繰り返しながら店を目指す。

30分ほど歩いて気が付いたらホテルの裏側にまで戻ってきていた。時刻は10時すぎ。

壁に怪しげな忍者の絵の書いた居酒屋と、メニューが豊富そうな居酒屋が2件並んでいる。

忍者の店のメニューに喜多方ラーメンの文字を見つけ、それを〆にする事にして、先に隣のメニューが豊富そうな店に入る。

結構おなか一杯だったので、この2件で地酒1種つづとおつまみ1、2つづつ頼もうと決める。

このお店もオススメが米ナスの田楽だった。

さっきの店で食べたのがおいしすぎて食べたり無い感があった彼が又頼む。あと納豆の篠田焼も。

店が変わると当然のことながら味も変わる。

この店の米ナスの田楽は、さっきの店よりナスが小ぶりで味噌が薄味。白味噌で、ナスの旨味がとてもよく出ていた。

どっちもおいしかった。並べて食べてみたい。

ここで飲んだお酒（榮川だったっけ？）も辛くておいしかった。でももうけっこう酔っ払い始めてたな。うん。

納豆の篠田焼も香ばしくてとてもおいしく、冷酒によくあうので、家に帰ってからも彼に晩酌用のおつまみにリクエストされて作った。

篠田焼でいいんだっけ？あの油揚げに納豆入れて炙ったやつ。

ネギとダシをたっぷりいれて練った納豆を油揚げに入れて、ポイントは油揚げの上にレモンを絞ってふりかけ、塩をまぶす事。

お店でやっていたのをコッソリ盗み見して真似てみたら、たったこれだけのことなのに全然おいしくなった。

ここも夜遅いのに地元のおじさんが楽しそうに飲んだりしてて、私たちも地元民のフリをした。でもばれてたと思う。

もう入んないくらいおなか一杯だったんだけど、〆の喜多方ラーメンのため隣の忍者店へ。

内装はもろスナックで、カウンターでは常連さんらしき人たちが3人ほど飲んでいる。

奥に一つだけある狭いボックス席に座り、日本酒と喜多方ラーメンを頼む。

メニューにツナ餃子という文字を見つけ、なぜか頼む私。あれだ。酔ってたからだ。

つかね。ツナ餃子もおいしく地酒ももちろんおいしいんだけど、驚いた事にここのラーメンがただものじゃない味がした。

彼が一口飲んだ瞬間に、う！とか言ってる。私も飲んでビックリ。

魚系の和風ダシがしっかり効いてて香ばしい。でも和風ダシらしくしつこくなくサッパリとしている。

チャーシューも喜多方特有の、豚の角煮のようなとろけるお肉がびっしりと乗っている。

あまりにおいしくて、彼がお汁の最後の一滴まで飲み干して、マスターにおいしいですと言ったら、今までの仏頂面が信じられないぐらい嬉しそうにニッコリ。

聞けば、この店をやるかラーメン屋をやるか最後の最後まで悩んで、奥さんに押し切られてこちらになったらしい。

ラーメン屋でも充分繁盛してましたよ！とかいいながら、むしろその方が・・・という言葉を飲み込んだ。

場末のスナックのような所で地元の人に混じりおいしい地酒を飲み極上のご当地ラーメンで〆る。

この時点で旅は大成功と言えると思う。

彼が食べるの飲むのが好きな人で本当によかった。2人とも食いしん坊でよかった。

食べ歩くのに合計1時間近く歩いたけど、全然苦にならなくて。特に1軒目入った後はお酒の力もあり、ブラブラ歩くのも本当に楽しかった。

会津の土地はお酒も食べ物もおいしくて、結構寂れた土地だけど充分に満足できた。

店の裏がすぐホテルだったので、部屋につくなり倒れこむように眠った。

明日で会津ともお別れ。

その前に酒蔵見学行かなくちゃだな。

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