駅弁フェアー

今日は新宿までお出掛け。

狙うは百貨店で催されている【駅弁フェアー】。

いつもテレビで見ては、一度行きたいと思っていた。

あのめちゃくちゃ混んでてオバちゃんたちがもみくちゃにされてる奴。

その後に池袋の百貨店でやってる【北海道物産展】にもよろうと計画。

もみくちゃ+荷物を予想して、彼と軽装で出かけた。

会場は予想以上に混んでいたけど、テレビで見るような殺気は無くおもったよりちゃんとチェックして回れる。

やはり有名な【峠の釜飯】や【イカ飯】、どっかの有名な和牛を使ったお弁当や有名な海鮮丼なんかは人気で、ものすごい列をなしているが皆行儀よく並んでいる。

私たちはそれらには並ばず、比較的すいているブースを見て回る。

有名どころは食べてみたいけど、こおいう催し物やれば必ずきてるしね。

彼はとりあえず釜飯系は買って帰るといっていた。私が物色していると彼が嬉しそうな声を上げる。

福井のカニ弁当が売っていたのだ。これは彼の思い出のお弁当。

幼い頃、福井にあるおばあちゃんのうちに彼はよく一人で行ったそうだ。

心細くなった車内で唯一の楽しみが、途中で買うこのカニ弁当だったらしい。

話には良く聞いていたが現物を見るのはもちろんはじめて。どれどれと覗いてみてそのあまりにものかわいさに笑った。

真っ赤で素朴なプラッチックのカニの形をしたお弁当箱。

中にはカニを一面に敷き詰めたカニ飯が入っている。サイズもコンパクトでかわいい。

心細そうな目をした幼い日の彼が、ちょこんと座りお膝にコレを乗っけている姿を想像した。かなりかわいい。

彼は嬉しそうに即買いしていた。700円くらいだったかな。

私はこれといったねらいが無かったので相変わらずブラブラしていたら、心動かされるお弁当にぶつかった。

どこの名産か忘れたんだけど、なんか親子弁当とか言う奴。

ニシンを煮たのと大ぶりの数の子が抱き合わせでご飯の上に乗っている。

数の子好きの私としてはほおっておけず買おうかとするが、なんと売り切れ。人気商品だったか・・・。

しょんぼりする私の目に、次に飛び込んできた魅力的なあいつは【ふぐ寿司】。

紅葉卸とネギがうっすらすけた綺麗な白味の握りに心奪われる。

買うかどうか悩んでいた私の背中を押したのは、そのふぐ寿司の隣に並んでいた、【ふぐ炙り寿司】。

軽く炙ったふぐを寿司にしたもので、炙り寿司系に目の無い私は迷わず購入。

6カンほど入って1200円。寿司が端に寄らないように細心の注意を払って持つ。

次に彼が長野かどこかの釜飯を購入。

ブース内の沢山あるコンロには豪勢に湯気を噴いた釜飯が並んでいる。なかなかそそるパフォーマンスだ。

五目・鳥・山菜の3種類から散々悩んで五目釜飯を買っていた。うん、私もそれが正解だと思うな。1000円くらいだったかな。

ちゃんと陶器の器で重さもある。

あとは海鮮丼だとか牛肉弁当だとか棒寿司だとか、産地が違えどやっぱり似た物が多い。お弁当として加工しやすいのか保存しやすいのか。

ぐるっと回って一番奥の側面にものすごい人だかりのブースを発見。

ちょうど4つのブースがすっぽり入りそうな面積を囲むように、長テーブルが四角く並べられている。

その長テーブルに所狭しと色々なお弁当が置かれている。

どうやら今回の駅弁には2パターンがあるようで、今見てきたのは実演販売、こちらはどうやら委託販売のようだ。

ブースと違って整理係がいないので、並ぶと言う概念が無い。割り込んだもの勝ち。

遠巻きに観ていたんだけど、比較的すいているところから顔を出してみた。

この長テーブル1週しただけで全国回った気になりそうだな。そう思いながら観るとなんとアゴ飯発見！！

アゴと言うと皆さんああ、あの出汁をとるトビウオねと思われると思いますが。

私の父のふるさと長崎では、このアゴを干物にしたのを炙って食べるのです。

身がしっかりしていて炙ると太目の骨から離れ、口に含むと強めの塩味が広がります。

香ばしさとしょっぱさで、お酒が何杯も飲めるのです。酒飲みには垂涎もので、塩舐めて日本酒呑むのんべえに食べさせてみたい。

私の固い魚炙って頭からアニアニ食べたい願望は、この魚から影響を受けたものなのです。

しかし、父たちが食べるこの干物用のアゴはかなり身も大きく脂も乗っているのですが沢山取れるものではなく、この東京ではまず出汁用のものしか手に入りません。

これはそのまま炙って食べても美味しくありません。

私がいた関西でもなかなか手に入らず、父は実家から送ってもらうのを楽しみにしていました。

そんなアゴの弁当が今目の前にあるのです。買わないはずないじゃないですか。

長崎平戸のアゴ飯。これも700円くらいだったかな。即お買い上げです。

その後もうろうろしていたのですが疲れてきたので、結局池袋の北海道物産展にも寄らず家に帰ってきました。

まずはふぐ炙り寿司を付いていたポン酢で頂きました。今日は最初から日本酒で。

軽く炙る事で予想通り香ばしさが出ていましたが、食べて鼻に抜けるときにうっすらと来る程度でとても上品な味でした。

小ぶりなものなので彼と3つづつ。ペロリ。

私はアゴ飯を開け彼はカニ飯を開けます。カニ飯はかわいい外見のフタを開けるとほぐしたカニがギッシリつまっていて、ご飯にもカニの味が程よく染みて本当に美味しかったです。

カニが主張しすぎない味かな。素朴ででも自分のうちでは作れないみたいな。

彼は釜飯まで開け、上に乗っている具をつまみに日本酒を美味しそうに飲んでいます。

釜飯の具は五目らしくニンジン・ごぼう・椎茸・鶏肉・かまぼこ・うずらのたまご・クリ・山菜。他にもあったかも。

こちらの味付けはしっかり染み込んだ濃い甘辛さです。日本酒に本当に良く合うのでこれは酒飲みにはおつまみです。

私のほうのアゴ飯はと言うと、こちらもカニ飯同様素朴で優しい味付けです。

アゴの味が染み込んだ炊き込み御飯の上に、アゴの身がほぐして数欠片乗っています。

しかし、残念な事にこのアゴが思ったほど美味しくありませんでした。美味しいのですが物足りないと言うか。

彼はおいしいじゃんと満足げですが私は何か物足りない。

あとで分かったのですが、いつも父が食べていたアゴは実家から送られているものではなく、父の恩師がわざわざ買って送ってくれているというかなり希少なものだったのです。

しかし彼にアゴを食べさせる事が出来たので、これはこれで満足です。

付け合せのナマスや卵焼き、野菜の煮物も素朴で美味しく、700円は安いなと思いました。

二人で3つのお弁当をつついていたのですが、結局カニ飯は全部食べきれなかったので3分の2ほど残し翌日食べました。

駅弁は日持ちがそんなにきかないので、夕方に行くなら一人2つが限界。それでも翌日持ち越します。

今度又行く事があるなら、朝早くに行って2人で6つか7つ買おうと思っています。

買ったその足で近くの公園で食べ、夕食もお弁当。食べきれなかったら翌日の昼。

これなら色々食べれるはずです。

調べてみると駅弁フェアーというのは結構な人気らしく、規模は違えど都内なら毎週どこかで催されています。

特に今の時期はお弁当の持ちもいいし。

でもじつはもう少しあったかくなったほうが狙い目。

今はコートが邪魔で荷物が多くなるので（会場内はお弁当を炊く熱気と人の熱気でかなり暑い）もう少し薄着になったらもっと楽しいと思います。

温かい時期は痛みが怖いので。今のうちですよ、駅弁フェアー。