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ぷっちん日記


2010-06-24 (木) 映画「告白」を観た [長年日記]

映画「告白」を観た

昨日、koと「告白」を観に行った。

すごかった。ストーリーも映像も構成も素晴らしいと思った。特に最後がすごい。昔、映画の「模倣犯」を見て最後が?となって、本を読んだらその違いに?となったことを思い出した。そうだ、本読みたい! なんで買っておかなかったのだ。大失敗!

我慢できない気持ちだったが、koが深夜まであいている書店につれていってくれたので、最後の一冊らしかった原著も買ってそのまま読んだ。

映画は、多少の違いはあるものの割と本に忠実だった。少し意外だった。本も良いし、映画も良い。うーんすごい。

以下、少しネタばれになります。

特にすごいと思ったのは、まず、犯人本人ではなく、本人にとって唯一大事であり生の人間と感じられる存在である母親を殺させるところ。そして"復讐であり、あなたの更生の第一歩でもある"というラストの森口のメッセージの複雑さだ。

たしかにこの物語の中心は、子供を殺された悲しみと怒り、復讐だと思うが、もう一つそれに平行して、教育者というキーワードがある。そこには、森口から桜宮への複雑な感情も感じられる。ラストのメッセージに「復讐」だけでなく「更生」云々があるのがとても複雑でいい。この部分は犯人にだけ向けられたものではなく、森口自身と桜宮を意識しての言葉であるように読める。また、母を殺させたのは単に憎い相手に何でもよいから痛手を与えたいということではなく、自分のしたことの内容を正しく現実感を持って理解させたいという情熱のためであることが強調される。とても味がある。

映画では、ラストのメッセージに、本には無い「...なんてね」という演出が加わっている。これは、本と違って生身の音声でラストを表現することになるため、あえて本と同じような複雑さを表現しようと加えられた変更なのだろうか。比べてみて、映画のほうはより「更生云々は建前で、結局復讐したかった」という側の印象が強いようだ。また、森口先生により狂気や、女性としての魅力を感じる。どちらかといえば、本の表現のほうが好きだが、同じ表現を映画でするのは難しいのかもしれない。

とにかく、あー、面白かったなあ。


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