チナウ


2003-11-14 (金) 女王様といっしょ。 [長年日記]

はた迷惑とかをなぎ倒す女。

昨夜おうちでジュノペーゼを作ろうとバジルや油やチーズやをねりねりねりねりしていた所、キョウちゃんとユカからお電話がかかってまいりました。

そういえばキョウちゃん仕事で大阪帰るって言ってたっけ。

2人が楽しい企画を立ててくれておりました。

それには中・高時代同級生だったサキ様の近況が含まれているものでございました。

サキ様は、まあ、・・・なんと説明したらよいのでしょうか。

自己愛がとてもとてもビッグなお方で、学年の中でも有名人でした。栄作さま以上です。

どこからともなく溢れてくる自信という泉。枯渇知らず。そして源泉の出所は誰にもわからず。

いや。多分美人という部類には入ると思うんですよ。

目が大きい。パッチリ。

しかし大きいのは目と自己愛だけではなく、口と鼻と顔と首と手と足とウェストと・・・

つまり全てがビックでした。

そんなサキ様と私たちはそれほど仲が良かったわけではないのですが、うちのグループは来るもの拒まず去るものに気がつかずという大変大雑把なものでした。

10数人でわさわさご飯食べたり、食堂行く人はテキトーに食堂組みと行ったりとファジーに活動しておりました。

そんなとき片隅にサキ様がいた事があったような気もします。

私は数回サキ様と同じクラスになり、そしてあるときは机を並べたりも致しました。

今でも忘れられないエピソードがございます。

ある授業中、私は半分寝かけておりましたがサキ様に起こされました。ナニ?

「ねえトモ。この学年で芸能人になる人何人いると思う?」

・・・。そんなどうでもいい質問でおこすなよ・・・。

つか、ここは神戸の山の上ですよ。堀越学園じゃないんですよ。

そんなに簡単に芸能人になれるのかな。

そんな数々の突っ込みと疑問は私の眠気には勝てず、ホエーとか言いながら再び寝そうになりました。

そんな私に彼女は当然のようにさらりと言うのです。

「まず私でしょ。・・・あとは思いつかないわ。」

・・・・・。

あほらしくなって私が再び爆眠したのは言うまでもありません。

サキ様のそんなビック発言より、私は彼女の白くたくましい腕にみっしりとは得た体毛のほうが気になって仕方ありませんでした。

アーチになってるよ。爪楊枝通してみたいよ。

又ある時。アレは修学旅行のとき。

サキ様は霊が見える方だったのです。

お約束で怖い話をするために私たちは集まっておりました。サキ様も呼んでもいないのにいつのまにか部屋の片隅に鎮座しております。

とても怖い話が飛び出しました。皆絶叫しかけです。サキ様すかさず立ち上がり、ここは大丈夫!!とか叫んでます。なにがやねん。

とてもとても意地悪なわたくしですので、その怖い話をした友人とグルになり、部屋のすみの一箇所がなんだか怖いといってみせました。

サキ様、又いきなり立ち上がりその隅へ行き、

「いる。たしかに悲しげな女性がいる。」

とか言い出したのです。

又皆は絶叫寸前、私と友人は爆笑寸前。

「でも皆!!大丈夫よ!!」

そう叫ぶとサキ様、やおらかたてにお守りとお経を持ち出し、オリジナルお経を披露しはじめました。

これには皆も唖然。私と友人はこらえきれなくなり部屋を出てトイレへ駆け込み爆笑。

一通り笑い転げた後ジュースを買いに行き、10分ほどして部屋に戻りました。

そこで見たものは。

皆が帰った後のがらんとした部屋の中を、お経をブツブツ唱えながらグルグル歩き回るサキ様の姿でした。

時折お清めの塩らしきものを関取のようにバラバラ撒いております。

部屋の隅にはこの部屋に割り当てられている気の弱いクラスメート。半泣きです。

さすがに爆笑を通り越し、ものすごい勢いでひいてしまいました。

ごめん。ごめんよサキ様。

その後もサキ様は、呼んでもいないのに私たちのハロウィン仮装パーティーにど派手なシンデレラの衣装で現れました。

演劇部だったのでその伝で貸衣装屋から借りたそうです。

そのパーティは大成功。大盛り上がりのうちに終ったのですが、その時の写真がなぜか職員室に流出。

一人一人呼び出される中、皆で酒は飲んでないだの口裏を合わせていたので大丈夫とたかをくくっておりましたところ、偵察隊がサキ様が全て先生にしゃべるところを盗み聞き。

その後私たちの元に駆け込んできたサキ様一言。

「みんな!全てバレてしまってるわ!!」

お前がバラしたんやろ・・・・。

グッタリしつつ、仕方がないのでその後の罪は全てサキ様にかぶってもらいました。

おしおきです。

そんなこんなで微妙な意味で有名人だったサキ様。

高校卒業後は「個性的に生きたいの!」の一言で附属大学には行かず某美大に入学したサキ様。

芸能界への第一歩として某エステのモニターとなり、超ローカルな規模での優勝でご満悦だったサキ様。

今でもピンクのキャッツアイのような衣装で、お約束のビフォアーアフターをさらしたチラシが脳裏に焼き付いて離れません。

初期の恋のから騒ぎでは確かにから騒ぎしていたサキ様。

結局芸能界へのステップはから振り。地元に戻ったサキ様。

5年前の同窓会ではアロマテラピーのなんか分からん資格をとったといっていたサキ様。

皆を癒すよとおっしゃっておりましたが、その場にいた全員がそれは無理だろうと突っ込んだサキ様。

3年前の同窓会ではアロママッサージの仕事もはじめ、主に野球選手を担当していると誇らしげだったサキ様。

野球選手にも誘われて大変、そのうちプロポーズされるかもと鼻息も荒かったサキ様。

サッチーや落合嫁の例を思い出し、それはアリかもと心からサキ様を応援した私たち。

そして今回のサキ様最新情報とは。

「神戸に小料理屋をオープン。7歳年下の燕を囲っているらしいよ。」

ブラボー。

成功したのかしてないのか微妙なライン。

「何も言わずカウンターに座るだけで何品か出てくるらしい。」

ああ・・・なんか微妙な哀愁が。

この3年の間に一体ナニが・・・・。

まいりましょう。

何だかんだ言って私たちはいつの間にやらサキ様の奴隷だったのでございます。

神戸の片隅、薄暗い小料理屋、顔はいいが働かない若い燕。

まいりましょう。

サキ様のために大輪のユリの花などお持ちして。

サキ様はわたくしのためにどんなお料理を見繕ってくださるのでしょうか。

どんなお酒を合わせて下さるのでしょうか。

とても。とても楽しみです。

ちなみにユカたちの下馬評ではモツ煮込みと大五郎だそうです。

そのケンカ買った。


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