チナウ


2003-04-24 (木) ギリギリやばいかな。 [長年日記]

まあいいや。コレは冗談です。妄想でやんす。



なんかね。

生きてるうちで、ほら、何回か自分の事ヤダナーって思ったり、

今この現状ちょっとヤダナーって思っちゃうことってあるじゃないですか。

なんか、これははたしてどうよ?みたいに疑問に思っちゃうこと。

まあなければ無い方がいいんですですが。

私は恋愛で自分がイヤになった事と、仕事がイヤでイヤで仕方が無かった事が1回づつあるんですよ。

ほら、恋愛はしょっちゅうウダウダ言ってるので、本日はちょっとお仕事の話でもしようかと思います。

ジョブよジョブ。今日はほんのりジョッバーな気分なんですよ。(適当)



最近の私しか知らない方々は、私のことをきっとソリティア・マスターとか、フリーセル・番長とか、マインスイーパー・奉行とか思っているかもしれませんが。

私だって昔からプロの給料泥棒だったわけではありません。

それには汗と涙の日々があったんですよ。多分な。





私が東京に出てきた理由の一つは、オヤブンの会社の支社を東京に出す事でした。

東京支社といっても別会社なんですがね。

オヤブンが既に持つ会社の東京支社を作り、そこを拠点に活動して資金を集め、

別の会社を株式会社で作るという計画でした。

東京支社といっても正式社員は私とオヤブンと川辺さん。3人だけ。

その他はフリーで出入りするライターが2名、カメラマンが2名、そしてバイトが1名というかんじでした。



川辺さんはじつに優秀なデザイナーさんで、某サーキット場の宣伝デザインとか、メジャー小洒落冊子のデザインとか、

個人的にも多忙な人です。

デザインの腕もさることながら、使うコピーや写真までこなしてしまう、まさに1人で3役こなす戦力でした。



オヤブンという人は。

その性格とか、人生とか、思わず目を背けたくなる部分で出来ているような人ですが、

この人は私が今までの人生で、あ、この人天才だ。そう思った2人のうちの1人でした。

ちなみに1人は私が学生時代からの恩師で、某テレビ局の偉いさんに異例のスピード出世をなさいましたが、

この方は正統派な頭の切れる方でした。

オヤブンは又少し違ったタイプで、そうですね、天才詐欺師といったほうがぴったりきます。

オヤブンを見て思いましたよ。あ、こおいうヤツが神様なんか信じてないくせに教祖とかなって大もうけするんだろうなってね。

オヤブンの才能は大きく分けて3つ。

1つは企画力。

なんてこと無い企画を話していくうちに、サブの企画も次々と思いつき、気がついたら色んな企業、人を巻き込んだでかいイベントになってるなんてしょっちゅうでした。

しかもリスクを恐れない子供のような部分がありましたから、参加者たちも、実はこんなイベントやりたかったんだと共感して盛り上がっていきます。

コケたこともありましたが結構打撃は軽く、逆に成功すると金額てきにというか、知名度的にものすごくアップするものばかりでした。

オヤブンは金よりも、そういうのを東京で築きたかったようです。

2つ目の才能は、その企画力をより魅力的に見せる独特な企画書。

私は多分たくさんの企画書の中でもオヤブンの企画書は見分けられると思います。

ぱっと見分かりにくいんじゃないかと思われる図。

コレがものすごくフクザツに入り組んでいながら、実に分かりやすく的確に表現しているのです。

未だに5年前オヤブンの持ち込んだ企画と企画書を何回も焼きなおして、実行している会社を私は知っています。

そして3つ目は営業力。

これが一番すごくて、気がつけば皆オヤブンのペースに巻き込まれてしまいます。

オヤブンはどんな大きな会社にもTシャツジーパンで行くずうずうしさ。

50人を越すスーツ軍団の前でオヤブンただ1人そんな格好だったときはさすがに生きた心地しませんでしたが、

本人はケロリとしていました。

そしてそれが許されるあの空気こそ誰も真似の出来ない才能でした。



そして私に与えられた役。それは宴会部長。

酒飲んで皆と仲良くなるの。本当にコレだけ。

楽しそうでしょ。



楽しくねぇっつーの。





私たちの仕事の核は、いつもオヤブンの頭の中だけにあったんですよ。

その内容、今後の展開を、オヤブンは私と川辺さんだけに話します。

書類では相手に渡す企画書とか以外はほとんど残さないの。

川辺さんは頭のいい人でオヤブンの一番のブレンであり信者でしたから、

1を伝えると10提案してくるキレ者でした。オヤブンも川辺さんを信頼していました。

私は利口ではなかったので、全部理解はしきれませんでした。

でもそれでちょうどよかったのです。

私が出す一般人らしい素朴な疑問が、結構2人に刺激を与えるようで、

そこから話がどんどん転がっていきました。

形になりつつある企画はオヤブンの頭と、それでも入りきれない分はハイデオの中に。

ハイデオはオヤブンのパソコンで、開くパスワードと、オヤブンルームに入るための2重のカギは、

私と川辺さんには許してくれました。

パソコンに名前て・・・と思われるかもしれませんが、これにもちゃんとイミがあって。

オヤブンといるといつもスパイごっこをしているような気分でした。



オヤブンは他の会社に行くときは、必ず私を連れて行きます。

私は何枚もスーツを買い与えられ、いつもキチンとするよう命令が下されました。

ラフな格好の隣で不釣合いにキチンとした私は変に目立ちました。

オヤブンと行動していくと、顔見知りの輪が広がり、私はよく食事に誘われます。

いつも午後10時11時まで仕事をしていた私たちですが、そんな時オヤブンは気味が悪いくらい気前よく早く帰らせてくれます。



東京に来て初めての企画を実行している頃。

共同に作業を進めてきている小さな会社の社長に食事に誘われました。

オヤブンにも、交流がお前の仕事だといわれ、とりあえず仲良く食事をしました。

事務所にもどるとまだオヤブンも川辺さんもいました。

オヤブンはニコニコしながらどうだったかときくので、いつもやっているように私もあった事を素直に話しましたよ。

ハイデオに向かうオヤブンの後ろから、この2時間ほどの事を事細かく聞かれたので、深く考えずに素直にね。

オヤブンの手が止まりました。

少し考えた後、川辺さんに何事が指示が下ります。

翌日出来上がってきたポスターの共催社名から、その会社の名前が消えていました。

驚いてオヤブンに訴えたのを覚えています。

私が何か言ったから?いい人だったよ?オヤブン、あの人今度の企画に社運をかけてるって言ってたよ!!

オヤブン、オヤブン、社長、先月赤ちゃんが生まれたばっかりなんだよ!!

騒ぐ私を驚くほど冷静に、それがどうしたといわんばかりの目で見ながらオヤブンは言いました。



「社運かけとるんはそこばっかりとちゃう。ウチもかけとる。みんなかけとる。

ヌルいこといちいち言うな。」



その後その会社はこの業界からあまり名前を聞かなくなってしまいました。

この事が決定打かどうかは知りませんが、影響を与えたのは確実です。

これが私の最初の仕事でした。





いつも私は会議の間中、親分の隣でメモを取るように言われます。

誰がどんな発言をしたか。どんな席順で、誰と誰が親しそうか。又は逆か。

オヤブンの商品は企画です。

皆その企画の今後の展開はなにか探りを入れてきますが、オヤブンを分かってくるとそれが危険な事だと気がつきます。

逆に探られてしまうのがオチだからです。

そうなると、まわりはオヤブンじゃなく私に接触してきます。

そして私はなるべく他の会社の飲み会に接触し、社内の飲み会にも参加できるよう入り込んでいくのです。

入り込むのは結構簡単でした。酒好きだし。宴会好きだし。初対面の人たちばかりでも人見知りしないし。

仕事の事を聞かれると、よくわからないとのらりくらりと逃げます。

実際分からない部分もあったので簡単な事でした。

後は皆が仕事についてもらす話を聞き逃さず、その日のうちにオヤブンに報告するのです。



ある時ある会社の若手社員から、色々な会社の若手が集まる会に誘われました。

皆で成功しようぜ!!みたいな胡散臭い自己開発セミナーとマルチを足しで割ったような会でしたが、

驚いた事に参加者は、25歳〜35歳くらいまでの、優秀で有名大学を出て、私たちのいた業界ではそこそこの会社に入ったような人たちが大半でした。

その人たちが、お互いの毎日を腹を割って話し、よりお互いを向上させるべく熱く助言しあっているのです。

びっくりしましたよ。こいつらバカかと。

だって、それってお互いの会社の内情を曝露しあうってことでしょ。

まあ私もちゃっかり楽して色んな事が聴けたからよかったのですが、どうやら主催者も結局それが目的らしく、

その後半年ほどしてその会の噂が広がり、慌てた会社の人事によって参加者のリストが探られ、

参加していた若手たちは軽くても出世から見放され、酷い場合はクビにまで追い込まれたそうです。

この事件で業界激震。

どうなってるんだ日本。



女子社員とも仲良くなるのも大切なお仕事です。

女子社員との飲みは、社内の人間関係を探るのに欠かせないものでした。

テレビやドラマ以上に、彼女たちは噂話に敏感です。

そして男子社員よりもっと冷静で、皆で向上しようなんていう胡散臭い集まりにも全くの無関心で、食えない軍団でしたよ。

そんな時にはオヤブンの後輩のサーファーを引き連れて合コンもします。

女子社員と手っ取り早く親密になるには、お互い共通の知り合いでおこる恋愛事情。

これについて語るのが一番の近道でした。



私の東京での仕事は。

疑似餌の形をしたチクリ屋だったんです。





私たちはある企業と組んで大きなイベントを立ち上げました。

オヤブンのねらいはもちろんイベントの成功とその後の継続。そして出資。

そしてそのためにいよいよ自分たちの会社を立ち上げる事。

その企業は出来てまだ10年程しかたっておらず、社員もまだ若く、でもイキオイのある会社でした。

そして実際に1部上場企業となったのです。

私が驚いたのは、そんな企業でも内情は結構ずさんだったりするものです。

イキオイがあればあるほど、組織編成が追いついていないのです。

1部上場企業となる直前の2年ほどは、まだ内部も移動が激しく、誰もが大切な社内情報を持てず、しかし誰もが簡単に見るチャンスもあったのです。

そしてそれがどれほど大切な事かも自覚できていないほど、社内の教育は行き届いていませんでした。



ある時オヤブンは、どこからそんな情報を仕入れてきたのか、私にその会社の経理の関さんと飲みに行くよう指示しました。

関さんのカバンに書類を入れた社名も何も入っていない茶封筒がある、その内容を送るように言われました。

そんな封筒分かるのかと不安になりました。つか、それって泥棒じゃないの?

焦る私にいつになく、オヤブンと川辺さんはがんばれと力強く送り出してくれました。

幸い関さんは、私たちがクライアントと食事をする時によく使うある店をとても気に入っていました。

小さな小さな店ですが、隠れた名店で、アルバイトのAちゃんは関さんの大のお気に入りでした。

そしてオヤブンの息が店員にも店にも行き届いていました。

関さんをそこに誘うと即OKが出ました。

呆れた事に、オヤブンはその作戦の何日も前にその店にFAXを取り付けていたのです。

つまり、その茶封筒の中身をそくFAXしろという事なのです。

無理。出来ない。

嫌がる私に2人してニッコリ微笑みながら、ダイジョーブ、トモちゃんなら出来るよといってくれます。

ちなみに失敗したらどうなるの?

え?その会社からいっきに見放される?イベントも当然中止?

ムリムリムリーーーーー!!!

オヤブンも川辺さんも、まあダメになったらなったで別の方法考えるからいいよと気軽です。

しぶしぶ私は関さんと食事に向かいました。



茶封筒は、すぐに分かりました。分かりました・・・けど。

書類、50枚くらいありそうな勢いです。カバンの中で目立ちまくってます。

これじゃあ家庭用のムリムリ動くFAXじゃ、結構な時間を費やします。

あらかじめ店の子と打合せをしてお荷物預かります作戦に出たのですが、

関さんは貴重品とその封筒だけ丁寧に自分の背中とイスの背もたれに挟んでいます。

あー・・・もうだめだ・・・。

さっそくオヤブンに電話で報告。

飲み始めて10分もたたない頃、オヤブンから荷物が店に届けられました。

同じ茶封筒。中身は破棄する予定の書類。

つまり入替えて、その間にFAXしろというわけです。

簡単なことですが、でもばれたら書類の内容で私たちだと一発でバレてしまいます。

最低2回はトイレに行ってもらわねば。

関さんを飲ませ飲ませ飲ませまくり、トイレに立った瞬間に封筒の中身を入れ替え。

コレが、たくさんの資料を無理やり入れた封筒だから焦るとうまく取り出せないし、かわりの書類も入んない。

封筒も用意したのと微妙に違う(封筒に走り書きとかしてやがんの)から破れたら大問題。

うまく入替えてFAX開始しても、すり替えている最中気付かれたらどうしようとヒヤヒヤし、

ちょっとでも書類の確認をしようと後ろ振り返るたびにバカ話をしてひきつけて、

なかなか次のトイレに行かない事にイライラし、

やっと全て終了したときは、本当にイヤな汗かいてましたよ。

書類の内容はよく分かりませんでしたが。つかみたくも無くて。ほら、見たら自分のしたことの重大さを知りそうで。

結局何だか知らないまま、私たちは数千万の資金と、まんまと株式会社を立ち上げたのです。

もちろん私のFAXした書類だけのおかげではありませんが、それでもオヤブンと川辺さんは、

あの書類が無かったらヤバかったな、もっと時間かかってたなとか言い合ってました。

そのせいかどうかは知りませんが、関さんは次の移動でなぜか遠くへ。

もともと愛社精神のない彼はアッサリやめてどこかへ行ってしまったそうです。

そしてこれも後で気がついたのですが、あの時すり替えように使った書類。

あれはどこから手に入れたのか、関さんの会社で裏紙利用に出されていた破棄用書類だったのです。

最初からばれてもばっくれるつもりだったのです。

それなら先に言ってくれと怒る私に、それぐらい危機感ないとお前きばらんやろと言われました。

もう。イヤ。





あの頃を思い出すと。

今は正直フツーの事務をフツーの会社でコツコツと繰り返すだけなんですが。

それで大きく儲けなくても決まったお給料が、遅れることなく私の元に振り込まれるのです。

ああ・・・幸せ。

オヤブン達との毎日は、刺激的で、楽しくて、辛くて、胃が痛くて、毎日がジェットコースターのようでした。

今もたまに手伝うんですけどね。もう毎日は精神的に持ちませんよ。まじで。

たまにオヤブンから電話が入ります。

私がいた頃の取引会社の担当が、今ちょうどいいかんじに育って上のほうになってきてるので、

ちょっと飲み会に参加してくれという内容です。

オヤブンの元には今、女性2人と男性4人が修行しています。二束三文で。

もう。マジ宗教ですやん。

たまに事務所によると、新人君たちがいぶかしげな顔をします。

自己紹介をすると、ああ!あの!とか言われます。

オヤブン、オオノ。あんたらまたなんか余計な事吹き込んでるな。

事務所で私の使っていた部屋(個室)は、今は誰も使っておらず私が使っていたままになっています。

たまに行くとそこで作業するのですが。

この前行くと机の上にダンボールに入ったエロビデオがつまれていました。

ソッコーオヤブンとオオノを呼びつけ、撤去させました。

また新人君たちがおお!とかいってます。



強くなってください新人君たち。私のように壊れないで。





人間としての大切なものを、私達のように金で換算しないで下さい。





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# 6-30 (2003-04-28 (月) 14:29)

事実は小説より奇なり。トモ様の人生は、妄想を実現する所にあり?<br>平凡なサラリーマンに憧れるのも納得。<br>32回目のお誕生日オメデトー(4月末ということなので)<br>ケーキは6-30が勝手に食べておきまふ。


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