チナウ
2004-06-21 (月) ほらあなたにとって
■ 大切な人はスグそばにいるよ。
他人に対してどこまで言っていいものか悩む時がある。
子供の頃は相手のためなら何でも言ってやるのが当たり前だと思っていたが、あえて言わないときや言うにいえないときというものがあるんだと知ったのは中学生の頃。
学年でも1,2をあらそうべっぴんさんの友人の家に遊びに行った。
その子にはお兄ちゃんがいて、つまりこの絶妙なバランス感覚を顔面に持つ遺伝子の家族なわけだから、お兄ちゃんともなると・・・と、思春期の私たちは照れながらも淡い期待を抱いていた。
しかし彼女曰く、お兄ちゃんは超ブサイクできもい、そしてアニメオタクだとばっさりと切り捨て。お兄ちゃんの部屋まで惜しげも無く見せてくれた。どうやらこの家のヒエラルキーではお兄ちゃんはおもっくそ底辺らしい。
壁にはアニメのポスターがはられ、ビデオが溢れていた。
絶妙なバランス感覚を顔面に持つその友人は、その分他のことには疎いと見えて、お兄ちゃんにもさほど興味を抱いていなかった。
だから私は床に転がっていたビデオテープの背に、走り書きで【くりーむ・れもん 3】と書かれていた事にふれなかった。
よけいなことは いわんでええ。
すこし人のことを考えられるようになった瞬間。
大学を卒業した頃、ユカに神妙な顔で相談された。
ユカが大学時代共に部活で青春を燃焼した友人ナオ。彼女が見合いをしたという。
お相手はなんと、私たちの中学時代からの友人ニシちゃんのお兄ちゃん。
私はニシちゃんと高校時代仲がよく、家にも遊びに行った事がある。
そして知った。お兄ちゃんは筋金入りのミンキーモモファンだった。
壁にポスターが貼られていた。ミンキーモモのヘアバンドが吊るされていた。ピピルマな魔法の棒が立てかけてあった。
見なかったことにしよう、ここは魔法をかけられてしまった人の住む部屋だ。魔法を信じる事の出来ない私達には見えない、ドッキンハートに瞬きショットが炸裂してるんだ。
そして件のナオは小柄でロリっぽい。ニシちゃんのお兄ちゃんはごっつ乗り気らしい。
何も知らないナオも、まんざらではないらしい。
真実をいうべきか。(あの人ミンキーモモのほうを愛してるよ!)
言わざるべきか。(ナオを通してミンキーモモ見てるよ!!)
結局何もいえないまま話はトントン拍子に進み、こちらの不安がいらんお世話だったとなるほど幸せに暮らしていた。
よかった。よかった。
ナオ。出産。女の子。
・・・・大丈夫だよ・・・うん。
言うにいえないということを知った大人への入り口。アニメの世界から現実世界の幸せを見つけたニシちゃん兄。
なんでもズケズケ言うように見られている私でも、言うことによって相手が傷ついたりしないか一応考えたりしてるんですよ。
そんなことを考える昼下がり。
目の前で・・・目の前でフワフワ・・・・
社内でも私が苦手とする人が・・・目の前で・・・フワフワさせてる・・・・
あんま好きじゃない人とはいえ・・・恥をかかせては可哀相だし・・・・フワフワフワ・・・・・
「トモさん、さっきからじっと見ないでくださいよフフフフフ。」
「鼻毛出てますよオマケ付きで。」
あ。言えた。