チナウ
2006-12-06 (水) クリスマスキャロルが流れる頃には [長年日記]
■ 君と僕といろんなことの答えが出ていた。
あの日は、オヤブンとオオノと3人で、親分の実家近く(日本一自由で法律の無い町)の焼肉屋で飲んでおりました。
ちなみになぜか朝の10時。
そんな時間から焼肉をつまみに飲んでいるのもどうかと思いましたが、その店の開店時間が朝7時という事実に感動し、更にモーニングセットまであり、卵とトーストとサラダとコーヒーというとてつもなく平凡でビタイチ焼肉に関係ないメニューにすがすがしさを覚え、何時から飲もうがもうどうでもよくなっていたのです。
クリスマス前の今の時期、あの町に不似合いなベルの音が、シャンシャンとクリスマスソングを奏でています。
「オヤブン、ココのお肉おいしいね。」
「やろ?ここはワシがチ○ポの皮ムケる前からかよっとんねん。」
「いや。モツとか食べてるときにそれはやめて。」
「うるさい、おいオオノ、どうせお前ムケてへんやろ。焼け焼け。」
「アハハハハ。名誉毀損気味なお心遣いありがとうございます。」
じつに食欲を掻き立てられる会話を交わしておりました。
なぜこのように詳細に覚えているかというと、このとき食べたもつ盛り合わせ(大皿に山盛り5人前くらい)が、310円という衝撃プライスだったため、私の心に深く刻まれてしまったのです。ねえねえコレ何の肉?
人間とは、こんな何の役にも立たない心の垢を抱えて生きていく生き物なのですね。
そんな私たち団欒の店に来訪者が。
ガーっとあいた自動ドア。ふと見ると、公園の隅っこにかってにドリームハウス建築しちゃうようなおじさんが、両手に草を持って立っています。ナニ?
「・・・はなーーー・・・・いらんかぁ・・・・・年末の花・・・・・こうてくれぇ・・・」
おじさんがむんずとつかんだそれはまさにアロエ。根っこにはまだ植木鉢の形をとどめた大量の土が付着しており、今まさにボトボトと店内に降り積もっております。
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
厨房から大将の雄叫びが、お客無視で轟きます。ジョジョみたいでカッコイイ!
大将がフルスイングで投げた大きなタワシが、おじさんの下半身めがけて飛んでいきましたが、おじさん意外に身軽な身のこなしで股間を死守、タワシはボスっとか音を立て無事お尻に命中。その瞬間おじさん雑草を投げ捨てタワシをつかみ、商店街の雑踏の中に全力疾走で消えていきました。
残された大将、タワシ返せとか叫びながらあとを追って商店街へ。
タワシなんか盗むなよとか、それなら投げるなよとか、そんなことより中華屋のおやじって本当に威嚇するとき大きな鉄のお玉もつんだと、私とオオノ大変感動いたしました。ありがとうございました。
肉体的にも精神的にもおなかいっぱい。ご馳走さましてお店の外へ。
まだ割られたてホカホカの植木鉢が店の外に散乱していましたが、大人になると目を細めなくても見たくないものは見えなくなるもんです。みえない。みえない。なにもみてない。
その後商店街を3人でフラフラあるいていると、道にダンボールを広げお店を開いているおじさん達を発見。
冷やかし半分で見ていたのですが、某スポーツメーカーの厚手ウィンドブレーカーが500円。パチもんだ!(東京ではニセモノなんていうの?ばったもん?)
しかし500円に見えないすばらしい出来で、オオノ大喜びでご購入。
オオノいい買い物したねーとうらやましがっていたら、おじさんが姉ちゃんにはこれやろかとお人形をくれました。
髪の毛ボッサボッサの。リカちゃん人形。
タバコで悪戯したのか右手がありえない角度でひん曲がってます。片目は塗りつぶされ、当たり前のように真っ裸で、こけし職人の絵付け技よろしく、パンティが執拗なタッチで手書きされておりました。
え?なんでパンティってわかったかって?
それはご丁寧に矢印つきで、おなか部分に”パンティー”って説明書きされてたからだよ。ウフフ。(紐パンだヨ。バタフライだね!)
丁寧にお断りし、お店をあとにする私の背中におじさんの陽気な一言が。
「ねぇちゃん!メリークリ○リス!」
うん。黙れ。
その後渋谷の某スポーツ用品店へ仕事で向かったのですが、オオノが購入した500円ウィンドブレーカーと同じものが、20倍以上の値段で売られておりました。
うん。オオノの購入したやつ本物だった。
デザインをパチったものではなく、現品丸ままパチった物やった。(THE★盗★品)
オオノが感慨深そうに一言。
「あの町には本物のサンタさんがいるんやなぁ・・・。」
うん。黙れ。
2006-12-22 (金) 生命力溢れるなにか。 [長年日記]
■ 放し飼い中。
近所にね、スシローがあるんですよスシロー。
ここね、回転寿司で全皿100円、おつむがちょっともたついてる私にも優しい。穴が開いているとしか思えない財布にも優しい。計算も簡単。
私ここがすきでね、寿司がというよりオプションが。
ここは関西のお店なので、寿司以外に出してるうどんがおいしい。240円くらい。だしがきいてて麺がモチモチ。
ただね、しゃりがね、ちょっと甘いんですよ。だから普通の寿司より邪道系がよくあう。
そんなわけでここにいけば、軍艦ミートボールだのツナサラダだの、普通の鮨屋で頼むには勇気大トロ系の邪道オーダーが心置きなく食べれる(そんなの普通の鮨屋じゃおいてませんが)。ノビノビとジャンクを楽しめるのがうれしいです。寿司というより、なんか甘酸っぱいミニおにぎり食べてるかんじ?
ウチの彼は邪道を好まない人間なのですが、この店に来ると海老天握りとか食べてます。かわりに好物の青魚絶対食べない。
そんなある日。
前日飲みすぎた私は、ここのうどんのつゆがすすりたくて彼を引きずりスシローへ。
私たちはカウンター席の一番端を陣取り、ビールを飲んでおりましたところ、向かいのボックス席に4人組のお客さんが。
デカイ。とにかくデカイこの4人。両親に20代の娘2人。皆でかい。
でかさの順で言うと
お姉ちゃん>妹>お母さん>お父さん
お父さんが舞の海ぐらい。
お姉ちゃんが安田大サーカスのヒロぐらい。いや、多分ヒロよりでかい。身長はヒロより低いけど、体重は絶対こっちの勝ち。すわるとどう見てもビーズクッション(特大)。
大人2人、間に子供はさんで座る×2というゆったりファミリーボックス席が、4人でギッチギチ。
で、スシローのシステムといたしましては、流れていないものはインターホンみたいなので注文します。
各席に色がつけられていて、注文されたものはその色の名前の付いた台に乗せられ回ってきます。私たちの席は緑色。ギッチギチ家族は橙色。
座った瞬間から即注文。原則3品づつのオーダーを無視。
「ぶりトロとトロサーモンと中トロと大トロ」
どんなけトロ好きやねん。
「全部4皿づつ」
3品づつご注文くださいと書かれているのに、この方たちの目は、寿司は見えても字が見えないモードに切り替わっているようです。
「あ、大トロだけ6皿」
娘達、2皿づつなんだね。
そんなわけで橙色の皿が大行列になって流れていきます。
おおすぎてもう少しでとりそこねそうになってた。
だっておねえちゃん、体が重いのかあんまり動かない。レーンのすぐ隣にびったりついて、妹に指図してるし。巨漢世界の叶姉妹。(叶姉妹ごめん。心からごめん。)
私たちの前を通った直後レーンは鋭角にユーターンし向こうの席へ。ぎらぎらした目が私たちの前くらいの皿からねらっているのが手に取るようにわかります。
奴らのせいで、こっちの注文遅れるし。くやしい!まけたくない!
ミートボールをとった私を、妹がちらりとみました。その直後、
「ミートボール軍艦3皿。」
即オーダー。
そうなってくると、いかに向こうを悔しがらせるかに命をかけたくなり(ちっぽけな)、私も負けずにオーダー。
「ハンバーグ1皿」
ハンバーグ。
コレはメニューに載ってない隠しメニュー。(別に隠れてないけど)
何度も通ううちに、たまにレーンに流れるので頼んでみたらOKだった常連の選択。
一皿ってところが微妙にショボイが(いや、普通)、お姉ちゃんもちらりと見たし。やた!
まわってきた私のハンバーグ。ちょこんと乗ったケチャップがセクシーですね。自慢げに食べようとしたら、目の前をハンバーグ軍艦が5皿流れてゆきました。
キッチンめ。まとめて作って流しよったな。
当然のように5皿全部橙家族が即ゲット。5皿だよ5皿。
その直後、妹がまたもやオーダー。
「から揚げ軍艦マヨネーズ多め。6皿。」
なになになになに。なにそのカロリー補給の呪文。
から揚げ軍艦は知ってるけど。マヨネーズ乗ってるしから揚げもタレかかってるし。重そうだから頼んだことなかったのに。
6皿ですか。しかもマヨ多め。
「あと、卵4皿、中トロ4皿、マヨ明太4皿・・・」
「お客様、3品づつでお願いします。」
やーいやーいしかられてやんの。
むっとした顔で引き下がる妹。
しかし、インターホンが切れた直後すぐさま押す妹。連打。連打連打。
「・・・・。はい・・御注文は・・・」
「海老天うどん2つと、角煮うどん2つと、大うなぎ4皿と、茶碗蒸し4つ。あと海老天にぎり4皿。」
「・・・はい、かしこまりました・・・。」
店側折れちゃった。
青魚食べろ!野菜も食べろ!
「あと、エビアボカド4皿。」
・・・一応野菜だね。マヨネーズが無意味に網目模様になって狂いがけされてるおしゃれな奴ね。
そんなに海老食べて大丈夫なのかな。呪い殺されないかな。海老に。
海老天寿司、姉妹で仲良く2皿づつ。
お姉ちゃん尻尾だけまとめて口に放り込み、ついでに妹の皿に残ってた海老の尻尾4つまとめてお口へ。妹、残してたんじゃなく、どうやらあとのお楽しみに取ってたらしく軽く口論。
こうなってくると、もうなんか、奴らが好きそうなもの先にとって悔しがらせようっていうささやかな野望が、実現を冷静に計算すると壮大なプロジェクトとなってくるわけで。
仕方ないのであきらめ、その親子がどんな記録の金字塔を建ててくれるか見守ることに楽しみは地味にシフトチェンジ。
皿はどんどん積みあがり、舞の海がもう見えない。(もともとヒロちゃんであんまり見えない。)
皿だけじゃなく、食べたうどんの器とか、なんかそんなのもごろごろして机の上いっぱいいっぱい。
「和風パフェ3つと・・・・」
やめろって。もうイッパイだって。
胃袋にまだ空席があっても、テーブルの上は中国雑技団が肩車しながらオールスタンディングオベーション。
すばらしい。すばらしいからもう勘弁してくれ。
「あとマンゴープリン2つ。」
「お客様マンゴープリンは本日売り切れまして・・・」
「えー!この前もうりきれだったよね。もう・・・・じゃあチョコレートケーキ2つにチーズケーキ1つ。あとバニラアイス2つ。」
じゃあの意味がわかんない。
妹大活躍にまかせて、お姉ちゃんまったくペースを落とさず食べ続けてます。
注文以外にも、レーンに普通に回ってるのがんがん食べてるし。
もうね、橙親子の次に座ってる家族かわいそう。なんか橙親子の前通った後のレーンてすごく少なくなってるし、子供もから揚げとか食べたいのに肉油系すべて持ってかれるし。しかも橙親子に押されて注文もままならないし。
あーあー。よくみたらお姉ちゃん、お箸でチョコレートケーキ食べてる。しかも二口。
もうお皿置く余裕ないから、取った瞬間に食べて積み上げていくってかんじ。すごいね。
ようやく食べ終わって店員呼んだんだけど、今度はテーブルの上がカオス過ぎて皿の数が数えらんない。
3人がかり。皿並べる人とかうどんやパフェの器寄せる人とか。たとえこの3人が普段仲悪かったとしても、今この瞬間心は一つ。今夜一緒に飲みに行くな。これは。
そんな3人の見事な連係プレイが。数えながら片づけを同時進行してるのはじめて見た。数えたのから順にでっかいプラッチックのケースに入れて行ってる。
つか。
一皿100円、サイドメニューもせいぜい300円までの店で。
大人4人で1万円軽く超えてる。すごい。いや、次のステージも視野に入れてるような金額。
唖然とするギャラリーをよそに、ねえちゃんまだ口から大学芋覗かせながら去っていった。
あの大学芋・・・・爪楊枝がわりなのかなぁ・・・。
エコ!
2006-12-26 (火) サンタご多忙聖なる夜に [長年日記]
■ 牛食い酒のみ大暴れ
朝会社に行こうと駅の階段を登っていると、服装は気合入ってるんだけど髪型と化粧が微妙にユルんでる。そんなカップルをみかけました。
クリスマスお泊りですね。メーリクリースマースみてるほうが恥ずかしいっちゅうのね。
さて皆様におかれましてはいかがお過ごしでございましたでしょうか。
恋人と明日月曜日なのにがんばってお泊りでしょうか。
家族と楽しくクリスマスでしょうか。
自ら戦士となりドラゴンと戦ったり仲間と協力し合ったりと架空世界に大忙しだったでしょうか。
そんななかワタクシはというと。
今年のクリスマスはベロ。ベロ。べろべろに酔っ払ったのではなく(いや、酔っ払ったが)おいらベロでもなく、牛ちゃんのベロ。そんな超魅惑な部位に向き合うクリスマスでした。
数日前から彼がポソリと牛タンシチュー食べたいと言い出しまして。今年は休みだし、ゆっくり牛タンシチューを煮込むべということに相成りました。
近所にある精肉店。ここに牛タンシチュー用の肉くれーとお電話いたしましたら、大将がよっしゃ分厚く切り出しといたるわといってくださったので、いそいそと受け取りに行く土曜日。
なんでも、牛タン1本から焼肉用に柔らかい部分を切り出し、残りをシチュー用にするらしいですよ。
出てきた牛タン。牛ちゃんの舌先10㎝〜15㎝ほど。ごろんと。これひとつで結構なボリュームだなあとみていたら、ごろんごろんと7塊、7頭分の舌先が出てきました。その重さ1キロ。ところでおいくら?
「おう、好きなだけもってきな。値段?100グラム150円でいいよ。」
全部買って1500円くらい?牛タンの相場はわかりませんが、クリスマスディナーとしては、覚悟していた予算よりずいぶん財布にお優しい。
そんなわけで張り切って買占め家に持って帰ったら、普通に買いすぎといわれました。だよね。
とりあえず2日連続食べることも視野に入れ、塊4つと1つをダシ用にサイコロサイズに切り煮込み開始。
そうこうするうちに時刻は夜9時。
晩御飯どうすべーとかいいながら、隣駅にある前から目をつけていたおでんやへ。
このおでんやが楽しかった。
おでんもあつあつでかくておいしいし、メニューも豊富。1品づつ2人でわけッこしながらハフハフ食びた。タコこりこり。牛筋ムギムギ。ちくわあつあつ大根じんわり。辛子ついついつけすぎて、2人して何度も涙を流し。そんで当然ホッピー。(またかよ)
そのうえ他のメニューも充実で楽しい。串揚げセット辛子たっぷりソースがッつりでほおばったり、カレーナンピザとかスナック系もお酒が進みます。おかあさんのらっきょも食べたかったな。
そんなわけでめでたくベロベロ。2人してご機嫌で帰宅。彼はそのあともまたちょっぴりシチューを煮込んだり。
そんで翌日、彼が牛タンに甘さが足りないと、急遽別鍋で蜂蜜や貴腐ワイン、パインジュースなんかでさらにコトコト。本体のシチューも煮詰まって、最初の3分の1ぐらいの量になってます。いいかんじ。ではおいしいパンを買いに行きましょう。
ついでといってはなんですが、私は今年彼サンタにあったかい毛布をリクエストしていたので、それも買いに近所の大型店へ。
やっぱり高い。いい毛布、しかもダブル。
ちょうどルームカラー(茶:6 緑:3 赤:1)にあう緑系の毛布をみつけ、やっぱり高かったけど彼サンタは気前よくかってくれました。やた!
でも実は、ボーナス直後彼サンタにすでにピアスもかってもろてた。やた!
あとこの日は牛タンワイルドだからと、アフリカの赤ワインとシャンパン、スモークサーモンなんかも買い込んでお家へ。
今年の私はハナメガネ(あの、メガネと眉毛と鼻とひげがセットになったパーティーグッズね。あのイカレた。)も忘れません。
おうちでパーティーならハナメガネとクラッカーは外されへんでとおもちゃやへ。でもハナメガネない。
店員さんに聞こうかと思いましたが、予想以上に恥ずかしい。思わずモジモジ。
彼、知らん顔で駄菓子コーナーへ行ってしまったので、この隙にと店員さんに「ハナメガネ取り扱ってませんか」と、ものっそテレながら聞いたら、棚の向こう、おもちゃとおもちゃの隙間から、彼がニヤニヤしながらばっちり見ていました。ハジカチーーーー。しかもハナメガネとか言う名前じゃなくて、変装セットて商品名だし。ハジカチーーーー。
いい年してハナメガネて。恥ずかしさを隠そうと、「ハナメガネ取り扱ってませんか」て、中途半端に大人な言葉遣いがさらに恥ずかしさ倍増。いっそのことオッスオラハナメガネが欲しいぞ!わくわくすんぞ!って言えばよかった。
でもちゃっかりクラッカーも確保し、そのうえとんがり帽子はありませんかって聞いたら、それは取り扱っておりませんと冷ややかに言われました。どんなけもりあがっとんねん私。しかも一人で。
そんないくつものステージをクリアし、いよいよお楽しみの時間ディナー。
牛タンはちゃんと甘く、でも大人の味でものすっっっっっごくおいしい!!すごい!!これ、まだあるんだよね!!おかわりしてもいいんだよね!!と興奮気味にさわいでも、彼はまだまだあるからゆっくりお食べとクールです。
ちゃんとハナメガネ写真を取り合いました。イヤイヤつける彼とノリノリの私。クラッカーも鳴らしたし。
さてここで、いつもがんばってる彼へ、私からの小芝居プレゼント。
「(ならない携帯を手にとって)あ。電話だ。もしもーし、どうもお久しぶりです、一年ぶりですかね。え?はあはあお忙しいんですね。え?どこですか?押入れの天袋?ちょっとまってくださいね、ねえねえ押入れの天袋開けて、そうそう、そのしろいふくろだって。はいはいありました。ああそうですか伝えておきます。お元気で。(電話を切る) あのね、今年サンタさん忙しくて、こっちのほうまでこれないんだって。だからね、さきにおいておいたからごめんねって。」
と、3日前から仕込んでおいたプレゼントを渡す私。なかなかいい演技力!
彼がほしがってたビルケンのサボ。準備してたのだー。タハー。
ものすごく喜んでくれたんだけど、俺のプレゼントは・・俺のプレゼントは・・とモジモジ。 ピアスと毛布かってくれたじゃん!というのに、なんだか今何か渡さないといけないとでも思っちゃったのか歯切れが悪い。
私はいろいろかってもらってすっかり満足しちゃってたから、そんな彼の態度もあまり気にも留めず、そのままたくさん飲んで食べて、ワインとシャンパンじゃ足りなくて、焼酎飲んだり日本酒飲んだり買出し行ったり。やりたい放題。
そんで聖なる夜、あったかいふわふわ毛布にくるまって眠りましたとさ。
んで翌日。平日の月曜。なのに諸事情で夜11時から家の近くで飲み始める私達。
いい感じに酔いも回り、明日も早いから帰るかってことになったとき、彼が思い切ったように告白した。
「実は・・・実は君にもサンタ来てたんだよ・・・でも・・・でもいまさらむなしくて昨日渡せなかったんだ・・・。」
彼が告白するところによると、彼のスーツが入ってる押入れの奥にブツはあるらしい。
でもいまさらむなしくて、昨日は渡す勇気が出なかったらしい。なにそれ?
早速家に帰ってあけてみると、そこには人気ゲームのソフトが2本。
もちろんその人気ゲーム本体は家にない。
そう、私はいまさらながらそのゲームがふとほしくなってたのだ。が、時期が悪い。クリスマスまで1週間を切っていた。しかも彼にはもうひとつ問題が。
実は彼の会社の先輩、お子さんが2人いるんだけど、それぞれに1台づつそのゲームをねだられ、ものすごい勢いで困っていた。
ここはお世話になってる人だしと、彼は仕事関係の人脈を使ったところ、ある会社が10台もそのゲームを抑えてくれた。そんで、いやいや、2台で十分ですよと意気揚々と引き上げた彼だったが、その数日後、今度は予期せず私がほしがりだした。もう8台のゲームは当然流れ、徹夜で並ぶお客さんの下へ。もう少し早く言ってほしかったと彼は嘆き、思わず先輩にゲームを引き渡すときははなしたくなくて思わずおテテブルブル。 そんなしょんぼり彼だけど、私はソフトのパッケージを見ているだけで楽しくなってきた。 このプレゼントには、彼の私がゲームを欲しがったという驚きと、焦りと、困惑が詰まっている。彼には悪いけど、なんだかとっても嬉しい。
夜寝る前ふとんに入り、何度もパッケージを裏返したりしてみていると、彼が必要以上に申し訳なさそうにするので、私は仰向けに寝転びおでこにソフトを乗せ、本体なくてもゲームやったるでとムイムイ念じてみた。
おでこにのせて、きっとこんなゲームかなあとか想像してたら結構楽しくなってきて、一人でクスクス笑っていたんだけど、だんだん眠くなってきた。
彼がそっと私のおでこにのっかったソフトを片付け、電気を消しあったかい毛布をかけてくれた。
その日はぐっすり眠りた。
# kotoli [久しぶりにヤ○ザなお話が聞けて、なんだか安心しました。]
# (・ε・) [先日久しぶりにオヤブンからメールが来たよ。 【住ムトコナシ。居候ヲネガウ。】 電報くささを狙っとる。]