チナウ


2005-06-07 (火) 旅立つ君へ。 [長年日記]

お土産は、ミミズの形のグミでした。最悪。

大学生の頃、キョウちゃんがグアムへ行く事になった。

キョウちゃん実は海外初体験という以前に、飛行機初体験だった。

友達思いの私とジュンコは、初飛行機だとドキドキするキョウちゃんが田舎者だとばれないよう、明日の旅立ちを控えアレコレ献身的にレクチャーした。

両親は九州出身なため、夏の田舎訪問では飛行機をタクシーのように使っていた私と(ごめん、見栄はった。)、実は10歳まで父親の仕事の都合でバンクーバーに住んでいたジュンコ。ここはひとはだ脱ごうではござらぬか。

キ 「ドキドキするな!窓際すわれるかな?!!」

ジュ 「あんた、スリッパ忘れるとか信じられないような凡ミスせぇへんといてよ。」

キ 「スリッパいるの?!!」

ジュ 「あったりまえやん!!ドキンだよドキン!!土足禁止!!」

キ 「そうなんだ!!」

ジュ 「飛行機は新幹線とちゃうねんよ?

    長旅にも耐えられるように、毛足の長ーいカーペット敷き詰められてるんやからね。」

キ 「わかった!スリッパな!ありがとう、まったく考えへんかった。」

私 「まぁまぁ。初めてだと意外なこと気が付かないもんなんやね。

   私たちが当たり前に思ってても意外に知らない事ってあるかもしれへんよ。

   着陸の時のバンザイだって、お母さんにやらされて訳分からなかったもんね。」

キ 「バンザイ?!!」

私 「あれ?バンザイ知らん?!!ドラマとか飛行機のシーンとかで出てくることあるやん?」

キ 「テレビほとんど見ないし・・・」(←超アウトドア野性児)

私 「着陸する時に抵抗を少なくする為に、皆で手を高く上げなきゃいけないんだよ。

   バンザイするみたいに。」

キ 「そうなんだー!!」

ジュ 「じゃあアンタ、離陸の拍手も知らんやろ。」

キ 「離陸の拍手?!!」

ジュ 「これはね、別に空気の抵抗とか安全上の問題とかじゃなくてね、言わば礼儀やな。

    飛行機に命預けるわけやん。皆運命共同体やから、なんか儀式みたいなもん?

    ヨロシク!がんばろう!みたいな。」

キ 「そうなん?!」

私 「だってアナウンスで機長の挨拶とかあるしね。」

キ 「なるほど!!」

ジュ 「あとチップもね。」

キ 「チップ?!!」

ジュ 「あんた、海外旅行でチップは常識やろ。

    飛行機だって日本の国境越えた瞬間から外国やん。」

キ 「・・・そうなんだ・・・」

ジュ 「だから、離陸した直後にジュースとかもらっても全然問題ないんやけどね、

    国境越えたらサービスしてもらうたびにチップ払わないかんよ。」

キ 「・・・どうしよう・・どっから国境越えたかなんて分からん・・・」

私 「だから機長の挨拶があるんやん!

   何のためにスッチーがわざわざアテンションプリーズって英語で呼びかけると思ってんの。

   合図やん。こっから外国ですよ、チップくださいよって、言うてるようなもんやん。」

キ 「なるほど!!」

ジュ 「いきなりチップとか言えへんしね。」

キ 「なるほどー・・・スマートなルール満載やなぁ飛行機って・・・」

ジュ 「窓際やったらいいね。赤道は絶対見ときよ。」

キ 「赤道って分かるもんなん?!」

ジュ 「あんた、赤道やで。赤い道!やで?」

キ 「?」

ジュ 「機内がなんかちょっと熱くなってきたかナァと思ったら下を見てご覧。

     真っ直ぐに紅く染まる線がうっすら見えるから。」

キ 「赤いの?!!」

ジュ 「赤いっていうより、所々燃えてるねん。」

キ 「はぁ?!!!」

私 「ほら、あの赤道の部分って油田が広大に広がってるねん。暑いやろ?あのへん。

   で、蒸気みたいにオイルが滲み出てるところに、あの気候で発火したりして所々燃えてるねん。

   地上だけやけど、うっすら見えるからせっかくやから見とき。」

キ 「わかった!!」

さすがにそれは信じないだろうと思っていたが、散々自分の無知さを植え付けられたキョウちゃんは、この無理にも程があるデタラメをすんなり信じてしまった。これがマインドコントロールというものなのかは知らないが、赤道直下の国の人たち、ひいてはキョウちゃんのご両親にはこの場を借りてお詫びをしたい。

その後ももしスッチーがイスラムの人だったら、機内食「ビーフオアチキン?」と聞かれても、それは引っかけ問題だから元気よく「ベジタブル!」と答えなくてはいけないとか、そもそも手に握ったJALのチケットをゆっくり見つめて考え直せば矛盾点にアッサリ気が付くはずなのだが、翌日に控えた海外旅行という人生最大のイベントに舞い上がりきってるこの幸せな友人は疑うという機能を全て捨て、砂が水を吸収するように、私とジュンコの垂れ流すウソをガンガン吸収していった。

当日飛行場まで送っていく役を引き受けた私とジュンコ。

キョウちゃんは朝から元気に、

「グアムについたら何しにきたん?ってきかれるから、そしたら【斉藤寝具!】でいいねんやんな!!」

と練習に余念が無い。

スリッパもわざわざ家のリビングから持ってきた、チェックの立派過ぎる代物だった。それを手荷物にギュウギュウ詰め込む。笑いをこらえる私とジュンコ。

他の友人たちとも無事合流し、お土産買ってくるねと鼻息も粗く搭乗しようとするキョウちゃんを呼び止めるジュンコ。

ジュ 「窓際の席かもしれへんやろ?キャップもってきた?」

キ 「あ!キャップは持ってるけど手荷物に入れてない!!」

ジュ 「飛行機は雲の上やねんから、紫外線も半端じゃないよ。あっという間に染みそばかすだよ。」

キ 「どうしよう・・・・・」

ジュ 「・・・これ・・・もって行き・・・」

ジュンコがそっと差し出したものは、水泳用のゴムのキャップ。私、耐え切れずに大爆笑。

さすがに催眠術の解けたキョウちゃん、あ!あんたら!!色々だましたんでしょ!!どこまでがホンマなん?!!と騒ぎ出すも後の祭り。

他の友人達に連れられ消えていったのでした。

もちろん事前に事情は他の友人たちにも伝わり、当日のキョウちゃんの大変ハートウォーミングな行動が、後日逐一報告されました。

飛行機に乗る瞬間スリッパを取り出し履こうとし、人の流れを止めスッチーに苦笑いされるキョウちゃん。

離陸の瞬間ものすごい大きな音でパチンと手を鳴らしてしまったキョウちゃん。

機内食が来るも、「ビーフてゆうてもいい?なぁ、ビーフゆうてもいい?」と小声で泣きそうな目で友人に訪ねるキョウちゃん。

やっぱりあの子らウソばっかり言いやったんやと、鼻息も荒く怒るも、ついつい窓の下をキョロキョロして赤道を探してしまったり、着陸の時は手をあげかけたりとなかなか染み付いたウソを払拭する事が出来なかったキョウちゃん。

帰国後ものすごい勢いで襲い掛かられる私とジュンコ。

さて、そんな私たちも、一つだけ、とってもとっても大切なことをちゃんと教えておきました。

キ 「海外って物騒なんやろ?」

私・ジュ 「武器は絶対機内に持ち込んじゃダメ!!荷物にも入れない!!」

ひとつくらいは感謝されてもいいと思うの。

本日のツッコミ(全8件) [ツッコミを入れる]

# バニー服部 [いつも楽しみにしてます。今月は恐いぐらいに切れ味が抜群!]

# (・ε・) [ありがたいことでございます。あなたがお金持ちならぜひ友達になってください。ナムナム。]

# (・e・) [つか、キョウちゃんが切れてるってことでじゃね?]

# (・ε・) [キタコレ。]

# バニー服部 [残念ながらボンビーです。アーメン。]

# (・ε・) [貧乏なら負けないぞ!住民税滞納のち給料差し押さえだ!!ヤタ!!]

# (・e・) [キタコレ。]

# 04yoshi [いやっ〜キョウちゃんが他人事とは思えない今日この頃の僕ですよ。 わんぱくでもいいたくましく育ってほしい。]


2005-06-08 (水) 君といる人生という名の楽園 [長年日記]

ぼくのたからもの。

うちの父親は前にも書いた事があるが、当時お母さんを妹のようなものという建前で隠しセカンドとしてキープ、結婚適齢期を迎え焦る本命を焦らしつづけ、結局本命が見合いをしに田舎に帰ったのをきっかけにお母さんを彼女に格上げした挙句、今彼女と所帯もって独立するなら協力すると上司に言われあっさり結婚した、色んな意味で野心家で自分勝手な男だ。

私が生まれ、野心家だった父はものすごいマイホームパパとなり、今は貧乏ながらも平和に暮らしている。

お父さんの視点から見ればこれは一人の男の計算と成功、そして苦境の物語となるが、これがお母さんの視点から見ると、きっと大恋愛というドラマになるのだろう。

高校の頃、私とユカ、キョウちゃんに加え、イシザキという大変仲の良い友人が居た。

日本的な顔立ちながら、すらりと伸びた手足やすけるような白い肌、手を加えていない天然のサラサラ茶髪は、どこか日本人離れした風貌だった。

本人は米よりパンをこよなく愛し、パンばっかり食べてるから外人みたいになったにちがいないとキョウちゃんが小学生レベルな決めつけをしたが、なんとなく皆その意見に納得していた。

イシザキはどちらかというと控えめな性格ながらも芯の通った頑固者といった所だったが、彼女の家に遊びに行った時、母親の華やかで賑やかな性格に驚いた。

イシザキそっくりの日本人離れしたスタイルの上に、明るい色でかるくウェーブのかかった長い髪に包まれた、華やかで整った顔が乗っていた。

何度も私たちの部屋に顔を出し笑顔を振り撒き、広いベランダに集まる鳥達に楽しげに餌を与え、歌うように陽気な声でケーキが焼けたことを知らせてくれた。

リビングには家族の写真が。

華やかなお母さんが寄り添う男性は、とても小柄でどちらかというと野暮ったくて、加藤茶扮する日本伝統のお父さんを少し気弱にしたような感じだった。

写真の中で自然体に映っているイシザキのお父さんは、女優のように艶然と微笑むお母さんと対照的に質素な感じがした。

この面白いほど真逆な2人はどうやって知り合ったのだろう。見合いか?

そんな私の質問にイシザキは寂しそうに、その話をするとお父さんがかわいそうで胸が苦しくなると、写真の前に置かれた小さく古びたオルゴールを弄びながらつぶやいた。

若かりし頃のイシザキのお母さんは、今にもまして華やかで、派手で、神戸元町界隈をブイブイグリグリいわせていた。

いつも彼女は取りまきを引き連れ、夜な夜な飲み歩いては流行りのクラブでダンシンな夜を過ごした。

ある日、いつもは行かない少しやぼった目のクラブで躍りつかれて飲んでいると、自分をじっと見つめる男性に気が付いた。

彼は目が合うと真っ直ぐ彼女のもとに歩み寄り、「きれいで見とれてしまいました。お話していただけませんか。」と、大音量の中でも聞こえるような声ではっきりと告げた。

ざっと見るとこのやぼった目のクラブからも更に浮くダサダサな男だったが、自分の周りに居ないタイプだったのでめずらしくなり、からかい半分彼女はその男性と話しはじめた。

普段はこんなところに来る勇気が無いけど、今日は新しい事を始めた日でお酒も飲んで勢いでやってきたとか、でもどうしていいかわからなくて困っていたとか、朴訥な彼が彼女を真っ直ぐ見つめ一生懸命話すのを、彼女は酔いの回った目でぼんやり見つめた。

そのうちこの退屈な会話にも飽きてしまい、彼女は帰ると彼に告げた。

彼は又会いたいと、驚くほど強く真剣に言った。

そんな気はサラサラ無かった彼女だが、酔いの回った勢いで、1週間後が誕生日だからその日ココに来ると言った。

そしてそのままその約束は忘れた。彼女の誕生日は半年以上も先だった。

若く楽しい時間は瞬く間に過ぎる。

彼女はまたあの店に何気なく立ち寄った。本当に偶然なのだが、それはあの野暮ったい男性と話したちょうどキッチリ1年後だった。

やっぱり酔っ払っていた彼女は踊りつかれて座った視線の先に、あの日の男性が座っていたことにまったく気がつかなかった。

彼は真っ直ぐ彼女のもとにやって来た。それでも彼女は最初それが誰だかわからなかった。

偶然だねと声をかけられあの日のことを語りかけられ、ようやく思い出した彼女は破った約束の事なんかもまったくきにもせず、アラお久しぶりと悠然と微笑んで見せた。そして何事も無かったように和やかに談笑したが、彼がお手洗いで席を外した時顔見知りの男性がそばに飛んで来て、あいつやバイ奴だよと教えてくれた。

なんでも1年程前、似合わないスーツをかっちり着込み、大きなバラの花束を抱え、この店の開店から閉店までずっと、じっと座ってひたすら時計を見つめていたらしい。その異様な光景に、彼は店で一躍有名人になった。

それ以来彼は毎日のようにこの店に顔を出し、誰とも親しくはならなかったがすっかり常連となっていた。

彼女は驚いた。戻ってきた彼に、アナタそうだったの?と聞くと、彼は少し照れながら、いや、誕生日にこれを渡したかっただけなんだよと彼女に小さなオルゴールを手渡した。

やっぱりやぼったい、ダサくてゴテゴテした安っぽいデザインだったが、チンチロリンとチープにかなでられる曲に、なぜかだか心が癒された。

その後数回デートを重ね、彼が彼女に異例のスピードでプロポーズ。

周囲の予想を大きく裏切り彼女はアッサリOK。

そして数年たち、2人の間に2人の娘が加わり、また数年後、お年頃になった娘になぜお父さんと結婚したのと聞かれ素直に全てを話し、どうしてプロポーズを受けたのかという質問に対しては鮮やかに微笑んでみせるだけで、いまだにその謎は解明されていないらしい。

男と女の間には、他人には踏み込めない世界がある。

大学時代のグループで、一番の才女で美人だったクミが、神戸の大きな会社に就職が決まった。

どっかで聞いた事があるなと思っていたが、よくよく聞くとイシザキのお父さんの会社だった。

イシザキは社名を普通に言っていたのでクミのいう社命を聞いてピンとくるのに時間がかかったが、なんてことない、イシザキから音として聞いた社命は勝手に私の頭の中でカタカナ変換されていたが、クミが差し出した名刺には社名がアルファベットで表記され、社名の後にグループと記され、その会社が小さな中小企業とは違う事を物語っていた。

クミの会社の名前は女子なら誰でも聞いた事のある会社で、まさかその会社全てがイシザキのお父さんのものではないと思ったのだが、クミが見た社長とイシザキのお父さんの風貌があまりにも一致する為イシザキに聞いたところ、いや、今はもう社長を退いて甥に譲り、いまは会長の座に落ち着いているとのことだった。

クミが社長を見たのは5年勤めてたったの2度だけで、最初は入社式の日遠くの壇上に現れ、サクっと挨拶だけしてあっさり去ったらしい。2回目は会社の巨大倉庫に訪れた時、倉庫の奥からひょろりとした貧乏臭い小柄な中年男性が、ママチャリに乗りながらユラリと現れた。

警備のおじさんが遊んでいるのかと眉をひそめたクミの隣で、先輩社員が直立不動で「おつかれさまです!!」と大声で挨拶をした。

「あいよー」と言いながら、またユラリと自転車をUターンさせ倉庫の暗闇に消えていった作業着の男性、それは数年前スーツで壇上に現れた社長その人だった。

会社を立ち上げた時イシザキのお母さんに出会い、その後1年間まだまだ軌道に乗らない会社から出た収入は、夜一目ぼれした彼女を待つための店に消えた。

結婚後小さな間取りの2LDK賃貸につましく暮らし、それでもベランダが異様に広かったのを愛する妻が気に入り、手狭になっても引越さず想い出に溢れた家庭になった。

地震をきっかけに神戸の一等地に大邸宅を構えるも、イシザキがすでに東京に出てきた後で、今更愛着はもてず彼女は放浪の旅人となった。

父の唯一の趣味は時計集めで、大邸宅に3畳ほどの小さな部屋を作りお気に入りのものだけを運び込んだ。小さな部屋に所狭しと並べられた時計に囲まれ、彼はゆったりと一日を過ごす。

父親の会社に入社し絵に描いたような腰掛けOLを満喫していた姉が、質素な父のためにカッシーナで買い求めたすわり心地の良い高価なロングチェアーを、その時計だらけの小さな城にプレゼントしたが、いまだに彼は妻となった愛する女性が、独身時代部屋に置いていた小さな2人掛けのソファアに丸まって、子猫のように居眠りをするのがお気に入りらしい。

残念ながらあのオルゴールは壊れてしまったが、今も小さな城の一等地に静かに鎮座している。


2005-06-09 (木) 平和且平凡地味風味日常。アルヨ。 [長年日記]

希望の朝。

毎朝コーヒーを買う自動販売機がある。

商品がガコンと落ちてくると同時に、録音された微妙機械音のお姉さんの声で、「ありがとうございます。行ってらっしゃい!」と声をかけてくれる。

男だらけの職場で女性との会話に飢えている私は、いつも「はいよー、おおきにー」と小さくつぶやいてしまう。機械の体相手とはいえ、チョッピリ和む一瞬だ。

今日もまた缶コーヒーを買った。ガコンと商品が出ると同時に、今度は男の人の声で、「おおきにー」と言われた。

コミュニケーションが取れたようで嬉しいのだが、また女性との会話が減った瞬間だった。

近くて遠い肉親。

ふと思い立ち、末の弟の名前でネット検索してみた。

あるところで、今夢中になってるスポーツのインストラクターをさせていただいてるらしい。

プロフィールを見ると、今までの活動と今後の活動が載っていて、なにやら華やかに元気にやっている模様。

兄弟の中では私同様父の血を色濃く受け継いでる末の弟。しかし私には無い意外に真面目な部分が、10年前東京に一人で出てきてた彼を助けてきたのだろう。

よかった。友達に囲まれた写真は充実して幸せそうだ。

よかった。真面目に、コツコツ生きるんだよ。

プロフィールの出身地がエチオピアになってた。なにソレ。

女子の純情踏みにじり。

女子はお通じがデリケートだ。

何をしても、朝から元気にデター!とかいってる男子とは違い、恥ずかしがりやさんがお腹に貯蓄されたりして、とても困った事態に陥ったりしている。

私は女子の中ではわりとデリケートじゃないほうだったので、周りの友人たちの悩みを気楽に聞いていた。が。ここにきて私のお腹もデリケートになりつつある。

最近では浴びるようにお酒を飲んだ翌日も、お腹を壊さなくなってしまった。いつもより健康なお通じという程度だ。だから普通に晩酌した日なんかは、おなかがデリケートを通り越し、頑固者でてこでも動かんオトモダチを蓄えたりする。

こまった。大変困った。

そんな時初めて立ち寄ったサイトに、ダイエット日記が載っていた。

そこで、美川憲一がコレのおかげでダイエットに大成功したという、【サンヨーデル】が紹介されていた。

サイトオーナーのお母さんもヨーデル状態で、オーナー本人はお腹を壊したとまで書いてある。

憲一が魅惑の微笑で、モリモリでるわよ〜んとか言うもんだから、私の心も夢がMORI☆MORI。(森口博子)

早速買ってみた。パッケージにはちゃんと憲一が、お通じ系のサプリにしては高い値段を掲げ、それでも買って御覧なさいと挑戦的に笑っている。

即買い。社会人をなめんな。(水道料滞納中)

サプリは2種類で、それぞれ1日2・3回にわけ、4粒〜8粒飲むらしい。

初日はそれぞれ2粒づつ飲んで寝た。

きかない。うんともすんとも言わない。

あったまきたので、翌朝それぞれ4粒づつ、計8粒流し込んだ。

天然ハーブが売りのこのサプリ、セロリだかなんだかの強烈な臭いを放ち、錠剤を乗せた手もほのかに香るほど。

きかない。うんともすんとも言わない。

更に夜また8粒飲んだ。又手が香る。

きかない。うんともすんとも言わない。

私は今、憲一を心の底から憎んでいる。あと森口博子も。(とばっちり)

孤独。

上で書いた、「おおきにー」と答える自動販売機の前をさっき通った。

くたびれたおじさんがちょうど何かを買っていた。

ガコン。 「ありがとうございましたー☆!!(レディボイス+標準語)」

なんか差別されてる。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

# バニー服部 [ヨーデルについてですが・・・ 女子によくあるお悩みの解消サプリのはずなのに 憲一君の勧めに乗った時点で もはや勝負あ..]

# (・ε・) [ああ・・・そうだった・・・ デリケートな問題なのに、憲一の微笑にのってしまった・・・ この時点で負け・・・つうか終っ..]

# (・e・) [憲一に一本取られるてものすごく嫌。]


2005-06-13 (月) ひとそれぞれ。 [長年日記]

なんでだろ。

憲一!ごめん!!

【サンヨーデル】、まったくでないけど、食欲がなくなる事が発覚!!

たぶん症状は人によってそれぞれだからなんともいえないけれど、私に至っては体がポカポカして食欲がなくなる事が分かりました。

すまん憲一!!あと博子も!!(←覚えていた)

孤独。

うちの会社は2月から、ネット規制が厳しくなった。

2ちゃんは当然のことながら、はてなダイアリー系も全滅、掲示板関係は全てダメ。

おかげで楽しみにしていたサイトはおろか、知り合いのサイトも見れないものがたくさんある。

皆、今ごろ何してるんだろう。

寂しさを紛らわせる為、見れる新聞系のサイトを開き、芸能欄をくり返し読んでは、毎晩偉そうに彼に情報を提供している。

今は若貴問題が熱いけど、聖子ちゃんの恋人も胡散臭くてグーですよとか。彼ウンザリ。

厳しくなってかなり悲しい。

(「このチクビくろくね?」の一言に騙されブラクラを踏み情報管理に叱られたくせに常時mixiをつなぎっぱにしていた悪行の数々が今日の孤独を招いたのは重々承知の助。)

基準依然不明のまま

私は男性を見た瞬間に、今後男として好きになれるタイプかそうでないか一瞬で見分けられるのですが。

ドラドラ塚地はダメでフットボールアワーの岩尾はOK。でもホンコンさんはダメ。


2005-06-14 (火) 君という輝きつづける奇跡。 [長年日記]

ぼくのだいすきなせんせい。

先生という仕事は大変だろうと思う。

実際の所私は教師ではないし、むしろ教師に迷惑をかけた側の人間だからなんともいえないが。

でも私たちの迷惑のかけ方はかわいいものだった。あかちゃんみたいなものだとおもう。

中本工事に似ているというだけで、授業の始まりの「起立!」の声の後、複数の生徒に鼻をつまんで「8時だよー」と1年間執拗に言われつづけ、涙目になった物理の先生が居たりした程度だ。

しかし世の中には困った先生というのも多数居る。

うちの弟の学校には、倫理の時間に「偏見を持った心を捨てろ!生まれ変われ!」とか言いながら首吊りロープ(きれいにループ加工済み)を掲げ大問題になった先生や、夜の工具室で改造銃を作り闇で売買し、新聞紙に華々しくデビューしちゃった先生も居る。

大学の頃、美術の教授にスミというおじいちゃんが居た。

ボンバーヘッドな白髪、今思うととってもシェケナな容姿で、眉間には常に深いシワが刻まれていた。

スミは常に熱かった。そして幼い頃から描いていた【ゲイジュツカ】という生き物を分かりやすくデフォルメして体現していた。

もっとココロを開け!情熱を滾らせろ!!と叫びながら教室をウロウロ歩き、写生をする生徒の耳元で何の脈略もなくイキナリ「全てを解き放て!!」と叫び、驚きのあまり悲鳴を上げた女生徒も一人や二人じゃなかった。

またスミは明るい色を極端に嫌っていた。

どんなデッサンもカラフルなデザインも、最後はグリグリ黒で塗りつぶす事を執拗に要求した。

冗談でもなんでもなく、スミの単位を取りたければ鉛筆1本使う気で、ボールペン1本潰す気で、黒の絵の具全てをひねり出す覚悟で、もうこれ以上黒くしようがないくらい塗りつぶすと点がもらえた。

もちろん全ての作品が真っ黒だから、誰が何を書いたかなんて分かったものじゃない。

真っ黒に塗りつぶした画用紙に、【追想〜過去という名の見えない物質】とか、【りんごとユリと骨〜滅び行くもの】とか適当につけて提出する。タイトルで黒の下にさも絵があるように想像させるという斬新なジャンルがずっと続いた。

スミは特にボールペンを好んだ。真っ黒に塗りつぶされた画用紙が無計画にグリグリやられたものか、一応作品を書いた上でグリグリしたものかを判断するかのように目を閉じ(←もうこの時点でおかしい)、指先で筆跡を辿りニヤニヤしていた。あれも一種のレアなフェチだ。

そして木炭で真っ黒になった手を満足そうに見つめ、わざわざ白い服を着ている生徒のそばに行き、いいぞいいぞといいながら背中をバシバシと叩いた。当然横綱級の手形がくっきり背中につく。

アレはわざとだ。確実にわざとだ。白を着た生徒は必ず、例外なくやられる。だからスミの授業では白は厳禁、ニットなんか着ようものなら毛足の中までグリグリし、見事なグレーを作り出す。

スミの授業のある日にうっかり白を着てきた生徒は、泣く泣く自主休講するしかなかった。

しかし白じゃなければ安心というわけでもない。相手はスミだ。

ある日私は赤のTシャツで授業に出てしまった。

スミは教室に入り私を見るなり、手に持っていた教材を教卓の上に投げ出し絶叫した。

「赤は情熱の色!!欲情の色だ!!!」

やってもたーという絶望が私を襲ったがもう後の祭り、スミは水を得た魚、激流を登って来る鮭の勢いで私の赤いTシャツに対する意見を炸裂させた。

「赤はナァ!!ココロをざわつかせるんだ!!特に男を欲情させる色なのだ!!オイ!!オマエ!!オマエはあれだろ!!自分の力じゃどうしようも出来ないから赤という色のもつ力を借りて男を誘おうとしているんだろ!!そうだ場所は駅だ!!反対側のプラットホームに立つ男を!!誘って誘ってムラムラムラと気持ちを高ぶらせるんだーーー!!ムラムラムラーーーッッッ!!!」

何故駅?何故わざわざ反対側のプラットホーム?いや、そもそも何故このおじぃちゃんが逮捕されずにずっと教職につけたのかが大疑問なのだが、仕方ない。相手はスミだ。理屈なんて通用しない、スミという生き物なのだ。赤を着た私が悪い。スミは目を閉じ自分の言葉に興奮しながら、手を自分の体に這いずり回してクネクネしている。元気な老人だ。

そんなわけでスミの授業は、彼が愛した黒そのままに、喪服のような生徒が鎮座した。

しかし、服を黒にし、自分を回りに溶け込ませる事ができる生徒はいい。どうしようもないことで目を付けられた生徒も居た。山田だった。

山田はクラスでも地味で、大人しく、化粧っけゼロのめがねおかっぱ生徒だった。

山田がはじめての授業に出席した時、スミは唐突にこう言い放った。

「・・・で、物を表現するという情熱はヨーロッパ・・・・・・オイ!!オマエ!!!」

元々地味な服装の上地味な性格地味な顔面。まさか自分の事とは思わなかった山田、思わずキョロキョロする。

「オマエだオマエ!!そこの、鳩みたいな顔した奴だーーー!!!」

山田ビックリ!人生で一番注目を浴びた瞬間。

「なんだオマエはキョトキョトして。鳩みたいな目をしやがって。いや、オマエはハトそのもの!!ハトだハト!!なけーー!!クルッポー!!(←自分で鳴いた)

・・・で、古来から芸術というものは・・」

又何事も無かったかのように授業を再開するスミ。ますますキョトキョトする山田。

その後も話の途中で、「な、ハト。」と普通に山田に話し掛ける始末。コレが1年間ずっと続き、他学科の生徒にまで、山田という名前は認知度ゼロでも「ハト」という名で一躍時の人となった。

またスミは装飾も嫌った。

授業中テキストに載った著名な画家の絵を指し、この絵のタイトルを答えろといいだした。

テキストにはちゃんと、「窓辺の女」とか何とかかかれている。

そう答えた生徒にスミは、違うといって譲らない。

「ばかもの、この絵を良く見ろ!!この絵のタイトルはな、【ブスのくせに指輪をゴタゴタつけて勘違いしているバカな娼婦】だァァァ!!」

フェミニスト団体が聞いたら白目むいて襲ってきそうなこの発言も、全てはスミ様のおっしゃることとスルーされる。そして、ごてごてしたブレスレットをつけた者、大ぶりのイヤリングをつけた者はスミが飛びかかり、没収したりその場に投げ捨てたりと餌食になった。

「己を飾るな!!ココロを見せろ!!」というよく分からない大義名分の元、スミはやりたい放題元気イッパイ生きていた。

輝きつづける残り少ない人生・・・・。

そんなある日、またスミはいつものように絶好調で授業を終えようとしていた。

最近では皆警戒して隠している為収穫は少ないが、それでもその日はブレスレット2本を投げ捨て、黄色を着た生徒にちょっと精神に問題があるんじゃないかとか俺流カウンセリングを披露して満足げだった。

次回の課題を言い渡し教室を眺め回した後、何かに気がつきナオのところに一直線に駆け寄ってきた。(机に突進されギャーと叫ぶ生徒多数発生)

その日のナオの指には大きな緑の石のついた指輪が。

「こんな偽者のガラス玉をつけているから堕落するんだ!!」

スミはナオの手から指輪を抜き取り窓の外へポイ。今までにも見たことある光景なので、皆あーあぐらいにしか思っていなかった。

そんななか、冷静にナオがスミに言った。

「今の指輪はおばぁさまからいただいたエメラルドです。今日はこのあと親族の大切な集まりがありますので、おばぁさまに見せるためにつけてまいりました。おかぁさまもとても似合うと言ってくれていた物でしたから、なくなると皆悲しむのですが。」

教室がしんと静まり返る。

「なくなったとなるとおそらく、親族が学校に伺ってご迷惑をお掛けするのではないかと思うのですが。」

ナオの父親は有名なお寺に育ち有名私大の学長、母は日本を代表する文化の家元、姉はおきさき候補にまで上がった由緒ある家。

あのでかすぎてガラス玉にみえた指輪は間違いなくエメラルド。

鳴り響く授業終了のチャイムの中、ナオは優雅に立ち上がりスミに一礼して教室を去った。

その日の午後、美術室の下の芝生に一攫千金を狙うトレジャーハンターが集まったが、すでに立ち入り禁止のロープが張り巡らされ、その中心でスミが他の生徒が入ってこないようシャーシャー息を荒げ威嚇する姿があった。

その後スミは相変わらず黒を愛し、白の服を汚して周り、明るい色の服を辱め、山田を気軽にハトと呼んだ。

しかしあの事件以来、指輪だけはお咎めなしとなった。

一応学習はしてるらしい。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

# kotoli [はじめまして、こんばんは。 スミさんみたいな人、いましたよ。小学生の頃。 色々やらかす人でしたけどいい人でした。 で..]

# (・ε・) [はじめまして!て! スミ系を小学校から体験するのは、微妙にトラウマになりそうで心配です。しかも少年好きて・・・。(ハ..]

# (・e・) [kotoliさんの、「こんばんは」と書き込み時刻の微妙なバランスは、さすがスミナイズ時空だと感心せざるおえません。英..]


2005-06-23 (木) 日常に潜む記憶。 [長年日記]

ノスタルジア。

友人の出産祝いに駆けつけるときは大家族を思い出し、赤ちゃんは意外に丈夫と念じながら初ダッコ儀式にそなえる。

南海キャンディーズを見ると、お互いを心配しあいながらボロい布団で包まって凍死した兄弟の悲しい民話怪談を思い出す。

劇団ひとりをみると、小学生の頃学校にコーラの香りのする消しゴムを持ってきて自慢したが、粗野なご学友によりバラバラに分解・持ち去られ、結局文句も言えず涙ぐんでいたいじめられっこを思い出して心が痛む。

酔った勢いで玉緒のプンプンを披露したところ、翌日から腫れ物にでも触るかのようにみんなの態度が優しくなった。

友達の給食のクリームシチューのなかに雛アラレのチョコを潜ませただけなのに、まったく関係ない奴から終わりの会で反省しろと詰め寄られた事を思い出させる貴乃花の話っぷりが憎い。

あねごと呼ばれるのは死んでも嫌だなと思う私の会社での呼び名はねぇやんだ。

ウエンツの一生懸命働いたら6年くらいで返せる借金を抱えているようなテンションが好きだ。

携帯で話しながら社内を徘徊、女性社員の近くに来たとたん声が大きくなり相手に激を飛ばし始める部長は第3次思春期真っ盛りだ。

本日のツッコミ(全10件) [ツッコミを入れる]

# ホソボソ [>あねごと呼ばれるのは・・・ ・・・・・・・・・・・・ス、スミマセンでした(紹介文)。 お詫びはエビチュでいいです..]

# (・ε・) [あ!ごめんごめん!説明たんなかった!あのね、テレビ見てて人前で「あねごがんばれ!」とか「あねご!」とか呼ばれまくって..]

# (・e・) [声に出してみるとゾゾっとくるもんがあるんだよ。ホソボソっちに合った時いつもそうよばれるのはかんべんだけど(特に人前と..]

# (・ε・) [ややこしいな。テレビって【あねご】とかいうドラマのやつね。主人公が総呼ばれてて気持ち悪いのよ。]

# ホソボソ [サンドイッチ2000ヶ作りから開放され、戻りました。 いや、スマンです。じゃ、また激安店で買った生ぬるいエビス持っ..]

# 臀部 [じゃあ大将って呼びます。]

# (・ε・) [子供の頃からニックネームをもらった事のない私ですコンニチハ。]

# いちごちゃん [南海キャンディーズの背の高い女の人に欲情します!]

# (・ε・) [おう!大阪の友達でよく似たこがいるよ!]

# (・e・) [身長も178cmあるよ!どんとこい!]


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