チナウ
2003-01-23 (木) ぼくたちはどこからきて。どこへむかうの? [長年日記]
■ チナウ、愛の劇場。
登場人物
主人公・・・ユウスケ(小学校5年生)
母・・・ヨシコ
姉・・・トモ吉(高校1年生)
兄・・・ダイスケ(中学2年生)
ある夕食後のひととき。
兄ダイスケ、ソファで新聞をめくる。
姉トモ吉、ダイスケの寝そべるソファによりかかりTVをみる。
母、ユウスケ、同じく食卓からTVをみつめる。
イキナリの濡れ場シーン。
母ヨシコとユウスケの間に何とも言えない気まずい空気が流れる。
ユウスケ(以下ユ) 「・・・きしょっ。チャンネルかえてや。」
母 「やーユウちゃんテレてる。(母も少し動揺気味)」
ユ 「こんなんテレへんわ。」
母 「じゃあユウちゃんこれ何してるか知ってる?」
動揺した母の、ソレもどうかと思う質問に、トモ吉・ダイスケ軽くクビをひねる。
ユ 「知ってるわ!!ABCやろっっ!!!」
ABC!!!!!
今この瞬間ココを読まれている大人なお客様の胸に、なつかしの『まいどおさわがせします』やCCBあたりが去来する。
母 「ABCってなにか知ってるの?!!」
動揺のあまり、どんどんハマって行く母。母親とは、いついかなる時も、末っ子の息子に弱い。
ユ 「知ってるわッッ!!!」
母 「じゃあAってなによ。」
ユ 「キッスじゃ。」
キッスて・・・。小さなツにただならぬ予感を感じ始めるトモ吉。
すでにTVでは殺戮シーンが始まっていたが、トモ吉家の緊張感はその殺戮シーンをはるかに上回っていた。
兄ダイスケの目もさっきから何度も新聞の四コマ漫画の上を上滑りしていく。
母 「じゃあBは・・・」
ユ 「Bか?Bはな・・・」
息子が、弟が大人になる瞬間、家族たちは何を想い、何を知るのか。
ユ 「Bは上半身ハダカや。」
一同 「!!!!!!!!!!!!」
上半身ハダカ。可もなく不可もなく。あっても間違ってもいない。
兄ダイスケ、判定の難しさに思わず首を傾げてうなる。
弟は大人の階段を登ってしまったのか?それとも踊り場で足を止めて時計の音を気にしているのか?
母 「じゃあじゃあCは?!!」
母親とは時に愚かなもの。もうこの時点で、彼女は親ではなく一人の女のヒステリー状態に陥っている。
Cとは何か。身をもって知る母親が、その結果でもある息子に問い掛ける問題の一幕。
ソレは・・・Dへと・・・すすんでしまうのか・・・。
ユ 「Cか?Cはな・・・・・」
トモ吉、もうTVどころじゃなく、ダイスケはすでに新聞から目がそれ遥か遠くを一心に見つめている。
そして母ヨシコは・・・返答次第では・・・絶叫も辞さない構えだ。
ユ 「Cはな・・・浣腸じゃ。」
・・・・・。
母 「キャハハハハッハッッ!!!そうよそうよユウちゃんッッッ!!!!」
緊張感から解き放たれた安堵感で、ものすごい勢いで笑い出す母親ヨシコ。
息子はまだ・・・・・天使だった。
ユ 「なにがおかしいねんっっ!!!なあ兄ちゃん、何がおかしいねんっっ!!!!」
ダ 「イヤ、原理っていうか、方向性っていうか、
その辺は間違っていないんだと思うんだけど・・・・」
思わず首をひねるダイスケ。
さっさとTVのボリュームを上げるトモ吉。
その日の緊迫した一幕は、笑いつづける母親に気分を概して、ユウスケが部屋へ閉じこもるというほほえましいオチで閉じた。
母 「・・・・・ダイちゃんはしってるの?」
・・・・・母親とは愚かだ。