チナウ
2005-04-19 (火) 自己防衛のために言っておきますが。 [長年日記]
■ 卯の花はおいしくてお褒めの言葉を殿から頂きました。
彼がめずらしく、おからが食べたいと言い出しました。よござんしょと早速卯の花を作る私。
近所の豆腐屋が開いてる時間に帰れなかったので、スーパーにて300g60円のおからを買います。見た目紙粘土。どう見ても紙粘土。
コレを、こんにゃくやら干し椎茸やらニンジンやらひき肉などをガショガショ炒めた所に入れて炒るわけですが、紙粘土をもっそりとフライパンに入れたところでなんかものすごい視線を感じました。
ちょうどコンロの目の前にある窓を開けて炒め物をしていたのですが、窓の前は駐車場を挟んでマンションが建っております。
このマンション、半分以上の部屋に外国の方々が入居されていて結構中が良く見えるのです。とても同じ部屋が並んだようには見えない、実にバラエティーに飛んだ部屋がいくつも構築されております。
1階の角部屋では、8畳ほどの所に(畳)机とパソコンをギッシリ並べ、中近東系の人が5人みっしり詰って黙黙と仕事をしています。事務所というよりアジトです。3階にはゴミ屋敷のような部屋が見えますし、2階には休みの日の昼になると、下着(下はパンツのみ。食い込んだお尻丸出し)姿でお尻をブリブリふりながら洗濯物を干す、開放的で奔放で豊満すぎるチョコレート色の肌のおばさん(テロリスト確定)が彼を心底萎えさせたりと、なかなか攻撃的で個性豊かな住民たちです。ゴミの日になるとマンションの前には、【分別】という言葉を自由奔放に解釈したゴミ袋がうずたかくつまれます。
彼らにかかれば、ペットボトルも酒瓶もなんだかよく分からない針金の束も【燃えるゴミ】になるようです。
そんな風に見えてしまうマンションですから、おそらくこちらのキッチンも良く見えるのでしょう。
フライパンで紙粘土のようなものを炒め始めた日本人を、不思議そうに見つめる中東系の人が2人あちらのベランダに見えました。ちょっと怖い。新たに大声で電話する人が加わりました。何語かサッパリ分からないけど、確実に汚い言葉でののしってるらしき人がウロウロしていましたが、こちらの紙粘土に焦点を定めたとたん、弾丸トークしながらも目だけはこちらに釘付けです。更に怖い。
おからが軽く炒まったところに、干し椎茸の戻し汁と出汁と醤油と砂糖とみりんを入れてまたグツグツ煮るのですが、これがまた見た目汚い。色の薄い泥のようなものがフライパンでグツグツ言ってる姿はとうてい食べ物に見えない。今度はケニア出身っぽい人が見物に加わりましたが、ケニアかどうかは本当のところ分かりません。ただ真っ暗闇に目だけが浮いてる状態です。
なんとなく気まずくなってそっと窓を締めるシャイな私。
おからをときどきかきまぜながら、あまったひき肉に酒ニンジンタマネギ卵黄味噌を加え、冷蔵庫の中で忘れ去られていたピーマンにギュウギュウつめました。ダメになるギリギリの柚があったので、フル活用して鰆の柚庵焼きにします。(コレは彼の指示です。遠隔操作です。)
おからも何とか形になったので器に移し、今度はあまったこんにゃくを辛くいためることにしました。彼が帰って来たので、向うのベランダにいたギャラリーについて報告をしたところ、換気扇を常時かけてなるべく窓はあけないようにと指示が出ました。
そんでフライパンにごま油をしいて、ちぎったこんにゃくをいためて、辛いの好きだから輪切り唐辛子とさらに七味をガンガンふりかけ、強火でガショガショやったところ、催涙ガスがものすごい勢いでフライパンから発生しだしました。
台所でゲヘゲヘせきこむ私に、何事かと飛んできた彼もガスにやられてゲヘゲヘ。
うわっっ目が痛い目が痛い!!喉にきた喉にきた!!息が出来ない息が出来ない!!ゲヘゲヘゲヘ!!慌てて窓全開、玄関も全開、それでもモクモクと立ち上る煙に、いぶされた唐辛子の成分が容赦なく人体に被害を及ぼします。
逃げ腰の私にかわって彼が火を止めフライパンをコンロから離し、窓を開けワーワーやってるうちに何とか落ち着いてきましたが、向かいのマンションのギャラリーがさらに増えておりました。
異国の人たちの目には、紙粘土を炒め泥をグツグツと煮、モクモク煙の中でのた打ち回る日本人はどう映ったのでしょうか。実験に失敗して毒ガスに自爆する日本人。負けずに怖い。
会話の無い誤解が多そうな異文化コミュニケーションが成立した夜。
そんな騒ぎの中、チョコレート色の肌の下着おばちゃんは、テレビを見ながらレディーボーデンのようなでっかいアイスを、そのまましゃもじですくって食べてました。(そんなところだけアメリカン!)
腱鞘炎?卯の花は美味しいね。
泥んこ卯の花は、なんか懐かしくて優しい味がしたよ。