チナウ
2004-04-16 (金) 男子禁制!存在自体が不適切な人間。 [長年日記]
■ 男性の方、お食事中の方は読むのをお控えください。当方責任は負いかねます。
ジュンコという大学時代の友人がいる。
私とキョウちゃん、ユカの4人でよくつるんでいたが、奴は本当に何かと突っ込みどころ大安売りな女だった。
そんなジュンコを、グループ内ヒエラルキー最底辺に決定付けた事件があった。
それは忘れもしない大学4回、スキー旅行の最中にその事件はおきた。ちなみにユカはなんかの事情で行けなかった。
スキー旅行の行き先は北海道。旅行代理店に就職が決まっていた友人がすべて手配してくれた。彼女はマミといい、大変面倒見がよかった。
行きの飛行機の中、マミは皆に保険証のコピーは持ってきたかと聞いた。すでにプロの添乗員のようだ。
んなもんもってきてねーと言う私とキョウちゃんの横で、ジュンコは保険証のコピーを差し出した。
広げた。
A3判。でかっ。
コンビニにコピーに行ったら設定がA3になってたらしい。
直し方が分からず、ジュンコは結局A3の紙2枚に表裏それぞれコピーし、切り取って丁寧に背中合わせに張り合わせてきていた。
巨大保険証に大爆笑する私たち。アホだ。
そして事件は旅行初日に起こった。
大きな浴場が自慢の温泉旅館。その日は移動日だった為スキーはせず、すぐ夕食の準備ができるというのでまったりしながら待った。
「あ!」
ジュンコが絶望的な声を出した。月のものが来たらしい。
温泉に入れないと嘆く奴に、生理の予定の無いはずのマミが、さっと準備していたタンポンを差し出した。ほんま添乗員やでこの人。
タンポンを入れた事がないとぐずるジュンコに、その年で何を言うと皆無視。不安げにトイレへ入ったはずのヤツは出てくるなり勝ち誇った顔で、「うまく入れたったわ。」となぜか自慢げだった。
まあいい。だまれ。
食事の準備ができるまで、私たちはそれぞれの部屋で待つことにした。
総勢10名だった為、部屋は3つに分かれていた。私とキョウちゃんとジュンコが同じ部屋だった。
テレビを見ていると、ふとジュンコがつぶやいた。
「・・・ところでタンポンってどうやって抜くん?」
キョウちゃんがテレビから目も離さず、紐引っ張れとそっけなく言った。
「・・・紐?」
「紐。」
「・・・・・。」
「紐だけ外に出てるでしょ。」
「・・・・ヒモ・・・ナイ・・・」(なぜかカタコトの日本語)
「!!!!!!!!!!」
寝そべってテレビを見ていた私とキョウちゃんはおそるおそる起き上がり、ジュンコのほうへ振り向いた。
ジュンコが呆然と口をパクパクさせている。
その後ジュンコは部屋を出たかと思うと、どこからとも無く小さなかわいい手鏡を持って戻ってきた。そしてそのままトイレへ。
「あーーーーーーーーー!!!!」
「!!!!!!!!!!!!!」
「紐がナイッッ!!!!!どうやって出すの?!!!」
「!!!!!!!!!!!!!」
慌てて出てきたジュンコをみて、私とキョウちゃん大爆笑。ジュンコもつられて大爆笑。
大丈夫だよ、そのうち取れるよと無責任な事を言いながら再びテレビに向かう私たち。ジュンコはまだ笑っていた。
「アハハハハ・・・ハハ・・・・ハアハア・・・・・ハ・・・」
「アホだなージュンコは。」
「アハハ・・・・ハ・・・」
しばらくテレビを見ていたら、途切れ途切れになんか音がする。
「・・・・・スン・・・・・スン・・・」
一瞬テレビの画面が暗くなった。私たちの部屋が映っている。
私たちの後ろで、ジュンコがつっぷして泣いていた。
それを見て私とキョウちゃんさらに大爆笑。
「ウガー!!!!!!」
いきなり奴は発狂しだし、私たちを追い掛け回してきた。野生だ野生。
慌てて他の部屋に逃げ込む私たち。この大騒ぎによって、ジュンコのトラブルは他のメンバーの知るところとなった。
添乗員マミが飛び込んできた。
「大丈夫?!!!ジュンコ!!病院行こう?保険証のコピー持ってきたよね?」
泣きながら差し出す保険証はA3判。また大爆笑。
「もういいわ!!ジュンコ、そこに横になり!!」
いきなり腕まくりをはじめるマミ。おいおいおいおい何する気だよ!!!
さすがに逃げ回るジュンコとマミを押さえ込む私たち。落ち着こうよ!!なッッ!!!みんな落ち着こうよ!!!
「イヤーーーーーー!!!」
それまで心配顔だったクミがいきなり叫びだした。今度は一体なんなんだッッ?!!!
「さっきジュンコが鏡貸してって・・・あの私の手鏡なんに使ったのよーーーーッッ!!!!!」
「映したったわ。トイレで色々映したったわ。」
今まで泣いていたジュンコが不適に笑う。
発狂しながら手鏡を洗うクミ。なぜか満足げなジュンコ。大爆笑しちゃってまたジュンコに襲い掛かられる私とキョウちゃん。
暴れるジュンコを羽交い絞めにしながら、とにかくお風呂に入って、体を綺麗にしてから病院へ行こうとマミがなだめた。マミはこの1時間で5歳は老けてた。
温泉のジャグジーにゆったりつかりながら、今度は乳首が大きいの小さいの色が黒いのピンクいので、又皆で大喧嘩をした。
誰がタイ米じゃコラッッ!!とキョウちゃんが暴れだし、私はどうしてお風呂ではチクビがたたないの?とリッチが不安げに小首をかしげた。
そんなささくれだった私たちの心に染み込むように、ジャグジーの気泡が気持ちよく下半身から包み込んでくれた。
余計に抜けにくくなるんじゃないのとジュンコをからかおうとしたら、ヤツはスミで神妙な顔をしている。
・・・?ジュンコ?
「・・・・抜けたーーーーーー!!!!」
「うわーーーーーー!!!!!!」
ガッツポーズで立ち上がるジュンコ。いっせいに蜘蛛の子を散すようにジャグジーから飛び出る他の面々。なにすんねん。
何とかその日は無事に過ぎ(いや無事じゃなかったけど)、皆早めに床についてグッタリと眠った。
そんなお騒がせなジュンコに最終日に天罰が下る。
ゲレンデでこけた所をスノーボーダーに突っ込まれ、結局病院送りになってしまった。
添乗員マミに付き添われ、手に握る保険証はA3判。
結局使うんか。それ。
そんな学生時代の思い出したくない想い出を秘めたまま卒業して早10年。
花嫁修業で料理やお菓子作りを習いだす友人達に、負けじとジュンコが習いだしたのがフルート。なんでやねん。
結婚式では趣味がお菓子作りと紹介されたが、その場にいた誰も食べた事がないためブーイングが起こったジュンコ。(ちなみにフルートに関しては一切触れられなかった。)
成績優秀で・・・・とか、職場の花で・・・とか明らかに嘘な褒め言葉が出るたびに、いっせいにフォークなどをわざと取り落として見せる私たちをブーケの影から睨みつけたジュンコ。
あのスキー旅行ではマミの趣味で、ずっと【ZOO】のチューチュートレインがかかっていた。
今もあの曲を聴くと思い出す。
楽しくもおぞましい日々だった。
そして私たちの青春列車は走り去ってしまった。
ちなみにジュンコダンナの行きつけの店。店名は【チカン列車】。
発覚した瞬間のジュンコ先生ソウルフルな呟き。
「せめて終電で帰って来いっちゅーねん。」
駆け出〜して 飛びの〜るチューチュートレ〜ン・・・・・ぺ〜(←華を添えるフルート音)