チナウ
2002-06-07 (金) 今はなきあの店へ。
■ 食いしん坊玉砕。
人の心の中にはムショーに食べたくなるメニューというものがあると思います。
それが1品の人もあれば数品ある人もいて。
問題は量ではないのです。
そのムショーに食べたくなるものがすぐ食べられるメニューかということなのです。
私は前回にも書きましたが、タコスなんかもダイスキですが、これは比較的作りやすいのでクリアーです。
私のタコス好きは、毎日のように通い、最終的には店員になってしまったほどダイスキだった店が原因です。
メキシカン中心の店だったのですが途中からオーナーがインド人に代わり、インド料理も充実していました。
オーナーのジョイはすごく食いしん坊で彼自身も料理が上手く、
イタリアンなんかもすごく美味しかったです。
また食べ歩くこともダイスキで、店の終った夜中から、ジョイ行きつけの店を求めて代官山や青山、六本木など私たちは徘徊しました。
バイトをしている間にも、簡単な料理を教えてくれました。
サルサの作り方、アボガドサラダの作り方。
バルサミコや酢を使わない彼等は、酸味をつけるときはレモンとライムとグレープフルーツジュースを使用していました。
それだけのことでも私には新鮮で、簡単なものくらいなら私が作ったりしていました。
しかし、どうしても作れないものがありました。
カレーです。
これはもう、なんども覚えようとチャレンジしかかるのですが、その香辛料の多さにいつも気が遠くなってしまうのです。
彼等は当然のこと日本のカレールーを使いません。
ってか、そもそもインドにはカレールーなど存在しないのです。
何十種類もあるスパイスを、具やその日の暑さ、湿気などにあわせてカンと味覚を頼りに作るのです。
当然作る人によって味も違ってきます。
キッチンには常に2人のインド人シェフ、ドニーとサヌーがいましたが、
常連さんになってくると、今日のカレーはどっちが作ったの?とか、ドニーのカレーが食べたいだの、サヌーのシシカバブが食べたいだの、
言いたい放題になってきます。
カレーの具も、骨付きチキンのチキンカレー。
チキンカレーは絶対骨付きを煮込むのがポイントです。
野菜カレーには大根なんかも入っていて、これがなかなか美味しいのです。常に7種類以上の野菜が入っていました。
日本ではおなじみで主役級なじゃがいももにんじんもほとんど入れません。
そして私がダイスキなキーマカレー。
これは絶対マトンのひき肉。もう絶対。
マトンは臭いとクセがあるのですが、それをカレーの匂いが押さえ込むため、独特な香りになります。
ものすごく好き嫌いがハッキリしてしまうのでオススメしにくいのですが、もう、はまると禁断症状が出ます。
そうです。
わたしがムショーに食べたくなるもの。その一つがこのキーマカレーなのです。
えびとクリームのカレーやダール(マメ)のカレーなんかも美味しいのですが、もう、私はキーマなのです。
最近そこかしこのカレー屋でキーマカレーの文字を見ますが、もう、だめなんですよ。
あるとき入った店で、
「うちは鳥のひき肉を使ってあっさりした仕上げになっております。」
とか言われてしまいました。
あっさりさせてどうすんねん。
あの独特の臭いと辛さがイヤならナゼキーマカレーなんてメニューに入れるのでしょうか。
まあマトンはどうしても臭いので嫌われがちですが(わたしもジンギスカンは苦手)、そのせいでせっかくインドの人がやっている店でもあっさりした作りにかえられています。
おいしいのニー。
おなじマトンを使ったシシカバブもにんにくたっぷりでキョーレツでうまいんです。
このシシカバブやタンドリーチキンをほぐし、たっぷりのたまねぎとレタス、辛いのがお好きならハラペーニョにサワークリームを入れて、
タコスの皮で包んで食べるのが私のダイスキなまかない料理でした。
もう、まじうまいの。
食べたい、できる事なら作れるようになりたい。
そんな私に一筋の光が。
輸入食材の店でスパイスの詰め合わせを発見!
20種類のスパイスが小袋に分けてセットになっており、20人前で600円ほどのお得さ!
早速家に帰ってあの頃のキッチンを思い出し、みようみまねで作ってみました。
まずスパイスは一度ボールに全て開けてかき混ぜ、軽くフライパンであぶります。
説明書にはそのスパイスミックスを1週間ほど寝かせると更にうまくなると書いてありましたが、本日は省略です。
20種類の小袋を破るだけでぐったりですよ。
次に大ぶりのたまねぎ2個をみじん切りにし、みじん切りのニンニクひとかけらと、包丁の背で叩いてつぶしたニンニク2かけらとともに炒めます。
たまねぎのみじん切りは大きめのボール一杯になりますが、大丈夫。
あめ色になるまで炒めまくると、信じられないくらい少なくなります。
この炒める作業が一番面倒で、40分くらい炒めつづけます。茶色でねっとりするまでです。
こげそうなら少し水を足して溶けやすいようにしてもOKだそうです。
本日は骨付きチキンが安かったのでチキンカレーです。
炒め終わったたまねぎにブイヨンを溶かした水を加え、トマト1個をさいの目切りにして加えます。
トマトピューレが無かったので普通のトマトを入れましたがこれで大丈夫。
骨付きチキンは軽く網であぶってからのほうが美味しいので、カレー粉をまぶした後軽くあぶります。
さっきあわせて軽く炒ったスパイスを入れ、煮込みます。
最後にチキンならヨーグルトを足して、塩コショウで味を調え、辛いのが好きならコショウとガラムマサラをプラス。
チキンは骨から見がほろほろほぐれるまで煮ると美味しいです。
最後は骨を手掴みで、しゃぶるようにして食べます。(←動物)
相方はその店のカレーはクセがありすぎて食べれなかったのですが、
私の作ったカレーは好評で3日間大切に大切に牛乳を足して温めなおしながら食べていました。
でも私はやっぱり物足りなくて、欲求不満が募るばかりです。
本当に美味しいキーマカレーを食べようと思うと、その店まで出向く時間と(私が見つけた店は都内で4件)、
そして財力が必要です。
カレー一皿に軽く2000円近く取られるからです。
チクチョー。
おいしいカレーの作り方、ご存知の方はぜひぜひ教えてください。
2005-06-07 (火) 旅立つ君へ。
■ お土産は、ミミズの形のグミでした。最悪。
大学生の頃、キョウちゃんがグアムへ行く事になった。
キョウちゃん実は海外初体験という以前に、飛行機初体験だった。
友達思いの私とジュンコは、初飛行機だとドキドキするキョウちゃんが田舎者だとばれないよう、明日の旅立ちを控えアレコレ献身的にレクチャーした。
両親は九州出身なため、夏の田舎訪問では飛行機をタクシーのように使っていた私と(ごめん、見栄はった。)、実は10歳まで父親の仕事の都合でバンクーバーに住んでいたジュンコ。ここはひとはだ脱ごうではござらぬか。
キ 「ドキドキするな!窓際すわれるかな?!!」
ジュ 「あんた、スリッパ忘れるとか信じられないような凡ミスせぇへんといてよ。」
キ 「スリッパいるの?!!」
ジュ 「あったりまえやん!!ドキンだよドキン!!土足禁止!!」
キ 「そうなんだ!!」
ジュ 「飛行機は新幹線とちゃうねんよ?
長旅にも耐えられるように、毛足の長ーいカーペット敷き詰められてるんやからね。」
キ 「わかった!スリッパな!ありがとう、まったく考えへんかった。」
私 「まぁまぁ。初めてだと意外なこと気が付かないもんなんやね。
私たちが当たり前に思ってても意外に知らない事ってあるかもしれへんよ。
着陸の時のバンザイだって、お母さんにやらされて訳分からなかったもんね。」
キ 「バンザイ?!!」
私 「あれ?バンザイ知らん?!!ドラマとか飛行機のシーンとかで出てくることあるやん?」
キ 「テレビほとんど見ないし・・・」(←超アウトドア野性児)
私 「着陸する時に抵抗を少なくする為に、皆で手を高く上げなきゃいけないんだよ。
バンザイするみたいに。」
キ 「そうなんだー!!」
ジュ 「じゃあアンタ、離陸の拍手も知らんやろ。」
キ 「離陸の拍手?!!」
ジュ 「これはね、別に空気の抵抗とか安全上の問題とかじゃなくてね、言わば礼儀やな。
飛行機に命預けるわけやん。皆運命共同体やから、なんか儀式みたいなもん?
ヨロシク!がんばろう!みたいな。」
キ 「そうなん?!」
私 「だってアナウンスで機長の挨拶とかあるしね。」
キ 「なるほど!!」
ジュ 「あとチップもね。」
キ 「チップ?!!」
ジュ 「あんた、海外旅行でチップは常識やろ。
飛行機だって日本の国境越えた瞬間から外国やん。」
キ 「・・・そうなんだ・・・」
ジュ 「だから、離陸した直後にジュースとかもらっても全然問題ないんやけどね、
国境越えたらサービスしてもらうたびにチップ払わないかんよ。」
キ 「・・・どうしよう・・どっから国境越えたかなんて分からん・・・」
私 「だから機長の挨拶があるんやん!
何のためにスッチーがわざわざアテンションプリーズって英語で呼びかけると思ってんの。
合図やん。こっから外国ですよ、チップくださいよって、言うてるようなもんやん。」
キ 「なるほど!!」
ジュ 「いきなりチップとか言えへんしね。」
キ 「なるほどー・・・スマートなルール満載やなぁ飛行機って・・・」
ジュ 「窓際やったらいいね。赤道は絶対見ときよ。」
キ 「赤道って分かるもんなん?!」
ジュ 「あんた、赤道やで。赤い道!やで?」
キ 「?」
ジュ 「機内がなんかちょっと熱くなってきたかナァと思ったら下を見てご覧。
真っ直ぐに紅く染まる線がうっすら見えるから。」
キ 「赤いの?!!」
ジュ 「赤いっていうより、所々燃えてるねん。」
キ 「はぁ?!!!」
私 「ほら、あの赤道の部分って油田が広大に広がってるねん。暑いやろ?あのへん。
で、蒸気みたいにオイルが滲み出てるところに、あの気候で発火したりして所々燃えてるねん。
地上だけやけど、うっすら見えるからせっかくやから見とき。」
キ 「わかった!!」
さすがにそれは信じないだろうと思っていたが、散々自分の無知さを植え付けられたキョウちゃんは、この無理にも程があるデタラメをすんなり信じてしまった。これがマインドコントロールというものなのかは知らないが、赤道直下の国の人たち、ひいてはキョウちゃんのご両親にはこの場を借りてお詫びをしたい。
その後ももしスッチーがイスラムの人だったら、機内食「ビーフオアチキン?」と聞かれても、それは引っかけ問題だから元気よく「ベジタブル!」と答えなくてはいけないとか、そもそも手に握ったJALのチケットをゆっくり見つめて考え直せば矛盾点にアッサリ気が付くはずなのだが、翌日に控えた海外旅行という人生最大のイベントに舞い上がりきってるこの幸せな友人は疑うという機能を全て捨て、砂が水を吸収するように、私とジュンコの垂れ流すウソをガンガン吸収していった。
当日飛行場まで送っていく役を引き受けた私とジュンコ。
キョウちゃんは朝から元気に、
「グアムについたら何しにきたん?ってきかれるから、そしたら【斉藤寝具!】でいいねんやんな!!」
と練習に余念が無い。
スリッパもわざわざ家のリビングから持ってきた、チェックの立派過ぎる代物だった。それを手荷物にギュウギュウ詰め込む。笑いをこらえる私とジュンコ。
他の友人たちとも無事合流し、お土産買ってくるねと鼻息も粗く搭乗しようとするキョウちゃんを呼び止めるジュンコ。
ジュ 「窓際の席かもしれへんやろ?キャップもってきた?」
キ 「あ!キャップは持ってるけど手荷物に入れてない!!」
ジュ 「飛行機は雲の上やねんから、紫外線も半端じゃないよ。あっという間に染みそばかすだよ。」
キ 「どうしよう・・・・・」
ジュ 「・・・これ・・・もって行き・・・」
ジュンコがそっと差し出したものは、水泳用のゴムのキャップ。私、耐え切れずに大爆笑。
さすがに催眠術の解けたキョウちゃん、あ!あんたら!!色々だましたんでしょ!!どこまでがホンマなん?!!と騒ぎ出すも後の祭り。
他の友人達に連れられ消えていったのでした。
もちろん事前に事情は他の友人たちにも伝わり、当日のキョウちゃんの大変ハートウォーミングな行動が、後日逐一報告されました。
飛行機に乗る瞬間スリッパを取り出し履こうとし、人の流れを止めスッチーに苦笑いされるキョウちゃん。
離陸の瞬間ものすごい大きな音でパチンと手を鳴らしてしまったキョウちゃん。
機内食が来るも、「ビーフてゆうてもいい?なぁ、ビーフゆうてもいい?」と小声で泣きそうな目で友人に訪ねるキョウちゃん。
やっぱりあの子らウソばっかり言いやったんやと、鼻息も荒く怒るも、ついつい窓の下をキョロキョロして赤道を探してしまったり、着陸の時は手をあげかけたりとなかなか染み付いたウソを払拭する事が出来なかったキョウちゃん。
帰国後ものすごい勢いで襲い掛かられる私とジュンコ。
さて、そんな私たちも、一つだけ、とってもとっても大切なことをちゃんと教えておきました。
キ 「海外って物騒なんやろ?」
私・ジュ 「武器は絶対機内に持ち込んじゃダメ!!荷物にも入れない!!」
ひとつくらいは感謝されてもいいと思うの。
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