チナウ
2004-07-28 (水) 今宵すべてのバーで [長年日記]
■ 手のかかるおっさんにお別れを。
酔っ払った時、特有の浮遊感に襲われる。
私はいつもそれが気持ちよくて、ついつい呑み過ぎフラフラ歩く。
プラットホームに立つ時、長い階段を下りようとする時、いつもふとこのままふわっと落ちたらどうなるだろうと思う時がある。
いつか酒で死ぬぞとよく言われた。
朝目覚めて記憶がないとき、良くぞ無事だったと我ながらゾッとする事もあった。
先の事はわからないけれども、多分だけど、多分、私は酒では死なないと思う。
中島らもが死んだ。
酔っ払って階段から落ち、頭を強く打ったのが死因となった。
最初に中島らもを知ったのは高校生の頃で、新聞でやっていた相談コーナーだった。
同性の人しか愛せないと悩む男の子に、明るいゲイライフを送ってくださいと当たり前のように答えていた。
最初に読んだ本は【4087486397】。
当時、村上龍の【4087496287】という青春群像を読んだ直後この本を読んで、ああ、なんとなく私はこっちよりの人間だなと思った。
多分舞台が私たちの通学範囲と被っていたからだが。
【4087484807】をドキドキしながら読み返し、【4061856278】で苦笑いし、【4087470253】でなんともいえない異物感と浮遊感をもらい、【4938598019】を愛し、彼の主催する劇団【リリパット・アーミー】の公演を見に行き心底がっかりしたりした。
テレビでは適当なコメントとともに、隙あれば「おっちゃんのちんちんな・・・」とつぶやき、もし愛する人が殺されたらという話題に、そしたら相手も絶対殺すと見たこともない冷たい表情を浮かべ。
適当で弱虫で優しくて真面目な関西のおっさんを私たちはしゃーないなぁと愛していた。
沢山の人がこの人は酒か薬で死ぬだろうと思っていた。私もそう思っていた。
そしてそうなっても本人は、あれまぁとか言う程度でふらりと別の世界に行くんだろうなと。
そして私たちは酒の席で、そういえばらもさん死んだね、あの人らしいねって言い合った後、それぞれ読んだ本の感想を持ち合って、そしていつも酒の場がそうであるように、またその話題も酒に薄められ消えていくんだろうと。
私たちもあれまぁって言うんだろうと。
それが。
文字通り酒を飲みながら、よいがまわり始めた頭に、あっさりと彼の訃報がブラウン管から飛び込んできた。
そして、酒で麻痺した頭が、それでもはっきりと悲しみを受け取った。
こういう結末は何よりもらもさんらしいはずなんだが、なんだか思ったよりやっぱりなって言う気がしない。
思った。
あの人は、無茶して、体壊れるまで飲んで、薬で周りに迷惑かけて、あっさり行く事でファンに語り継がれるような人じゃなく、それでもまだしぶとく適当に生きているしかたないおっさんとして愛されていく行く人だった。
ひねりもなんもないオチでワシおもんないな。つまらんな。すまんな。
そういいながらてれくさそうに苦笑いしているような気がする。
沢山の資料を広げて沢山勉強して本を書くらもさん。
自分の経験談を元にしたほうが得意で、そんな作品はいつもの本人の風貌に似合わず少し湿っぽくなってしまうらもさん。
すきでした。
やすらかに。
あの世でお酒は飲めたでしょうか。
えーと、実はらもさんは中高の先輩だったりします。ちなみにらもさんのひとつ上の学年に高橋源一郎がいて、源一郎氏らが頑張って制服を廃止したのですが、その直後にやたらめったらおかしな格好をしてきて顰蹙を買いまくったのがらもさんたちだったという余りにまんまなエピソードもあったそうですよ。うまくお悔やみが書けないので、トリビアちっくな小ネタをひとつ。
マジで?!!スゲー天才だ。あのウグイス色の制服(ダサイ)着てたの?ぽくちんはそこより駅をいくつか西宮よりのお山の上の女子高に中高通っておりました。
ちなみにpinoちんの学校とは方向性も偏差値もまったく違うので交流がありませんでした。先輩には漫画家の樹なつみがいるくさい。でも遊んでたエリアはかぶってそうだね。
あのウグイス色は「金無いからいちばん安い布で」という理由で決まったそうです。僕は着たこと無いのですけど(制服着ないでもよかったので)。でも制服が無くても、同じのばっかり着るから私服が制服化する不思議。ちなみに稲中卓球部の作者も先輩とかいう噂もあったな。。どんな学校やねん。<br><br>しかし、「高架下の靴屋に鼻ピンしてる店員いるらしいから見に行こうぜ」とか盛り上がってたつうのは平和な時代だったなあ。今だったらボディピアスとかで盛り上がれないよね。。。
甥っ子はpinoさんの後輩になるのか。制服姿は見たことないです。
合掌。ちゅーか灘とかありえんッス。
東大進学率ナンバーワンとか言われている灘ですが。東大はいるより難関らしいです。
あと入った後の6年間とかね。神戸といえば高架下!
電車の中で雑誌読んでいる人が居た。記事になってた。記事のタイトルが不思議な感じだった。中島らもという名前しかしらないけど。下条アトムくらい変わった名前だなってくらい。いっぱい本書いてるんだね。
ニュースでもほとんど取り上げられなかったね。
西川清のお父さんの死にかき消されてた。ある意味カッコイイ。