チナウ
2004-12-08 (水) 愛に生きる、その時君は暴走列車。③ [長年日記]
■ 出会いは偶然その後は必然
独自の世界観を惜しみなく放出したメールを送りつけてくるはせやん。
見なきゃいいのについつい見てしまう私。
見たいじょうは返事を律儀に送る私。こうして私たちの奇妙なメール交換は続いた。
ともぉ!あんなぁ(注:ハセヤンは関西出身)、今日は会議中に色んな事想像してもうてナァ・・・(略
真面目に仕事しろ。
きのうもせんぱいとのっみすっぎ〜☆う〜ぱ〜る〜ぱ〜はざんねんながら出産できず☆そしたら・・・(略
漢字ふやせ。☆減らせ。
ともにゅにゅにゅ〜ん!!ともにゅんきょうはまっすぐおにゅちへかえにゅのでにゅか☆(略
漢字へっとるやんけ。
こんなかんじに心温まるやり取りが続けられた。
私の返事もパターン化され、A:ふ〜ん。 B:だから? C:仕事しろ のほぼ3パターンを巧みに組み合わせて返信される。
そしてさすがにめんどくさくなってきた私は、はせやんとメールのやり取り以外の接触を避けるようになった。
私の住んでいたマンションの1階にはコンビニが入っていた。
寂しい一人暮らしの習慣で、私はほぼ毎日、家に帰る前にコンビニに立ち寄り、買う予定もないお弁当をフラフラ見たり、立ち読みしたりしていた。
その日も雑誌を手に取り読みふけっていると、視界に何かがチラチラ映った。
ふと視線を上げると、ガラスの向うに満面の笑みで両手を振るはせやんがいた。
彼はすぐさま店に駆け込み、もうお家に帰っちゃうの?と上目遣いにブリブリしながら小首をかしげたので、私はオヤスミ!の一言を残し振り返らず部屋へダッシュした。
油断した。コンビニの前ははせやんの通り道だった。
そんな反省も酒が入るとすっかり忘れ、翌日も酔っ払って帰宅した私はアイスのケースを熱心に見つめていた。
「かってあげようかぁ〜☆」
振り向くと上目遣いのはせやん。
いらん!の一言で家に帰る私。運が悪すぎる。
翌日はキンキンの家で飲んでそのまま泊り込んだ。
そしてさらにその次の日、あの日は2時ぐらいまで呑んでいた。
友人に家の近くまで送ってもらい、よせばいいのにコンビニに入った私。そして、また懲りもせずはせやんに捕まった。
時間は午前3時。パジャマのはせやん。なぜいる?
「えぇ〜!ぐうぜんやで、ぐ・う・ぜ・ん!ぼくもびっくりやぁ〜ん☆」
偶然・午前3時・パジャマ・偶然・午前3時・パジャマ・偶然・午前3時・パジャマ・偶然・午前3時・パジャマ・・・・
「でもなぁ・・・これってちょっと・・・・運命かもな☆」
まだ何か言おうとするはせやんに、呑み過ぎたから眠いと言い残しダッシュで逃げる私。
その後もコンビにではほぼ毎日会い、メールは返事をしなくてもバンバン送られてくる。
神様神様神様。どうすればいいのでしょうか。
ムカツクやつなら罵倒を浴びせる事もできる、少々手荒な手にでる事もできる。
しかし相手は確実に私よりか弱く見える下膨れの童顔ブリッ子。(注:34才男性です)
世に言うストーカーのように、性的嫌がらせをするわけではない。ただ可愛い僕、そんな僕を見てと上目遣いに訴えるだけ。
私は答えを出せずにいた。
ある日はせやんから、会社で叱られたと(そもそも給料もらえているということ自体が不思議だったが)めずらしくしょんぼりメールが来た。
よかったら一緒にご飯を食べてくれないかと書かれている。
無視する気にもなれず、かといって行く気にもなれず、風邪気味だからと返事を送った。
実際風邪気味だった私は昼過ぎには家に帰り、布団にもぐりこんでダラダラしていた。
何時の間に眠ったのか、目が覚めた。時刻はまだ夜8時過ぎ。
なんだか元気になったので、いつも行くインド料理屋【S】にでもキンキンを呼び出そうかと携帯をいじっていると、玄関のほうでがさごそと音がした。
なんだろうと覗き穴から覗いてみると、魚眼レンズで映し出されたようになった、ますます下膨れなはせやんがそこに立っていた。
うわーーーーーー。
もう一度こっそり覗いてみると、なんか・・・拝んでる。なに?!!
その後エレベーターが彼を飲み込む所を確認して、私は扉をそっと開けた。
ドアノブにビニール袋がぶら下げられ、中をのぞいてみるとドラえもんのぬいぐるみが2つ入っていた。
風邪で弱っていたのだろうか。それとも一人暮らしの寂しさだろうか。私はがらにもなくほろりとした。
ちょっと表現はアレだけど、でも彼は決して悪いやつではない。私はもう少し優しくするべきではなかっただろうか。
今からでも遅くないから、電話して御礼を言って、【S】で彼の愚痴でも聞いてやろうかと思った。
ビニールの奥には手紙が入っていた。
ともぉ・・・かぜだいじょうぶぅ・・・ ぼくがしんどいときはとももしんどいんやなぁ・・・運命共同体☆やなぁ。 きょうはぁUFOキャッチャー大漁大漁!ぼくは取るんが楽しいんやから、これはトモにあげるなぁ☆べつにドラえもん好きちゃうし。 コレを抱きしめる時はぼくをおもいだすように☆すちゃ!
・・・・・。
熱はあるんか?こおいうときはほんとうは座薬がいちばんやでぇ☆ 自分でいれれるん? あれ、じょうずに入れへんと、ぎゃくりゅうしてトモもう〜ぱ〜る〜ぱ〜噴出やで☆きゃぁ☆ばっちぃ〜☆ ぼくが入れるん失敗した時なんかなぁ・・・・・(略
私は読むのをやめ、静かに手紙を握りつぶした。
あぶなかった・・・・・もう少しで情に流される所だった・・・・・。
すっかり呑みに行く気の失せた私は、そのまま寝酒を引っ掛けベットにもぐりこんだ。
思えばこの時から、はせやんのラブコールというにはあまりにも稚拙なアピールが始まった・・・。
つづく。
なんで東京に出てきたダメな関西オヤジってうんこの話したがるかねえ?<br>なんかそういうやつに限ってあかんたれで悪い意味でロマンティックなんよなー。<br><br>でも個人的にはこのあとセクシーな展開が待っていることを期待してます!おもしろいから。
相手が相手だから、セクシーとは真逆だよね。
性的かどうかすら怪しいし。ただの頭の弱い変態だよ。