チナウ
2004-03-09 (火) ダメ人間な私ですが。 [長年日記]
■ それでも酒場を愛しているんですよ。
人選ミス。
私はかなりの食いしん坊です。食べ物系のマンガやエッセイは大好きなので色々買いあさって読んでいるのすが。
今回本屋で目に付いたのがこの本4847015312。OLビジュアル系のかなつ久美著。監修なぎら健壱・巻末には太田和彦。
表紙を見て嫌な予感がした。大衆居酒屋らしき店の前に小奇麗なお姉ちゃん2人のイラスト。帯にはアポナシ取材とか、もう読む前からやっちゃった感漂う言葉が景気よく踊っている。
内容はかなつ久美率いる酒の子ルンルン隊3名(・・・。)が大衆居酒屋へ突撃しオヤジ達と仲良くなって騒いだり酔ったりという内容。
あまりにもな内容だった。そして今一度、自分自身酒場での態度を見つめなおした。
そこで出てくるのが上の人選ミスという一言。
まずかなつ久美はあまりお酒が飲めない。モツ系が苦手。それを克服していく過程も楽しんでほしいとは本人談ではあるが。
読む側に食べる楽しさ、飲む楽しさが伝わってこない。彼女がそのことを根本的に愛しているように見えない。これはものすごいマイナス点だと思う。
そして、大衆酒場に女3人、派手な格好で行く。本人たちはおやじにモテる!おごってもらえる!とご満悦だ。
ちなみに3名とも30を過ぎた立派な大人の女性だ。
私も大衆酒場に何度か行った事がある。確かに女性が行くと目立つというより浮くという感じだ。それでもおじさんたちは比較的優しく迎え入れてくれる。楽しい。
しかし、楽しいこの場にももちろん暗黙のルールというものがある。
おじさんたちだって女性と話しながら飲みたいと思う人もいれば、静かに飲みたいという人もいる。当然だ。
女性の甲高い声は嫌でも響く。しかも女性客ほぼ皆無のこの手の店では目立つ為自然に耳障りになりやすい。
だからこんな席でははしゃがないのがルールで、できれば女を強調した格好で行くのは絶対避けたい。そんな格好をすれば酔った親父がちょっかい出してくるぐらいは覚悟していくべきで、女性ばかりならなおさらだ。ここはアウェイ、敵陣地といえばごへいがあるがあくまで主役はおじさんたちだ。おじさんたちでもっている店だ。
おじさんが女の子に優しくしてくれる確率は高いが、全てのおじさんがその場に女の子がくるのを歓迎しているわけではない。
それを差別だとか、女だって楽しみたいのにとかいう女子に限って、コジャレカフェに疲れたサラリーマンや親父がくると場違いだと怒る。
オヤジ酒場にも、コジャレカフェにも、チェーン店居酒屋にも、やっぱり微妙に客を選ぶルールがある。
コジャレカフェでさして美味しくもないカフェメシを食べ、甘いだけの赤ワインを飲み、割高な料金を払う。それはなぜか。
その場にただよう空気料を払っているようなものだからだ。
小奇麗でゆったりとくつろげるソファー。趣味のいい音楽。そんなものを求めていった先で、隣でオヤジが商談し出したら微妙に気分は壊れる。今度又ゴルフ行きましょうや!ガハハハとか言いながらカフェドンとかいう丼をかっ込む姿はそこだけナチュラルに吉牛。
おやじ。他行けよ。そんな悪態を心の中でつくだろう。
チェーン店居酒屋で、まだ小学生にもならない子供が走り回る。ファミレス行けよと思うだろう。
オヤジ酒場に女性が行くのを私は反対するわけではない。先ほども書いたように行けば意外に温かく迎え入れてくれるだろう。
ただそこではしゃいだりするのはいただけない。節度を持った態度で飲みたい。
私がこんなことを書くとほんとお前が言うなと皆に笑われるだろうけど、でもそれが人の陣地に踏み込んだときのマナーだと思う。
かなつ久美率いるルンルン隊(・・・。)は、ある店で女性だけは入店できないとおばさんに拒否される。取材拒否以前に入店拒否かよと怒る面々。まあその気持ち分からないでもない。じっさいおばさんの言い方もきつかったのだろう。
問題は何章か後のシーンだ。
無事に入った店で、温かい店のムード、美味しいつまみにハイテンションになるメンバー。声が大きくなりすぎて、お店の人に注文が聞こえないから声を小さくしてくれと注意される。それを1コマでスルー。自分でハイテンションになったと書いていた。反省がほとんど感じられないのが怖い。
コレが女性だけの客入店拒否になる種だということに気が付かない所が痛い。
別の店で親父たちと盛り上がりもう1軒行く。その店でおごってもらう。そのまま酔いに任せてトイレに行くついでにトンズラする。
後日おじさんたちに謝ったとかいてあるが、気持ちよく呑んで盛り上がって、おごりまでして、その後にトンズラされたんじゃあ1日の楽しい気分が一気にふっとぶ。小さなカウンターだけの店だとか書いてあった。店の人だって一部始終を見ているだろう。
後で謝ったとはいえ、店の人だっていい気分はしないと思う。
酔っ払って迷惑をかける客なんてごまんといる。しかしこの場では嫌でも女性が目立ってしまう。だからこそ気を配って欲しかった。
そんなの気にしすぎとか思うかもしれないが、実際女性入店拒否があるのだから仕方がない。
この本は誰のためになんのためにかかれているのだろう。
オヤジ酒場には美味しいつまみもあるしリーズナブルなのは確かだけど、そんなの探せば普通の居酒屋にいくらでもある。
入ったことのない世界に足を踏み入れてみたい、そんな好奇心を満たす為に書かれたのであればもっとその場や空気を尊重するべきだ。
かりにも本として流通してお金を取る以上、プロなんだから。
私が大衆酒場に惹かれるのは、安さうまさとその漂う空気を美味しいと思うからだ。だから溶け込もうとする。
競馬新聞を広げ、おやじが背を丸めうまそうに安い酒を啜る。ゆっくりと煮込みをつまむ姿はなんともおいしそうだ。
そう思って行ってみたいと思う女性が少なからずいると思う。でも一人で入る勇気がない、そんな女性が。
著者の酒の席失敗談の本ならまだ許せる。しかしこの本の目的は大衆居酒屋へ行ってみたいと思う女性のためにかかれたもののはずだ。
そのためのバイブルになるべく描かれた本が、実は女性入店を倦厭される種をまいたという皮肉なオチになった1冊。
著者はコレでオヤジ酒場にはまったとか書いてあるが、こんなノリで行くのなら、どうぞもうやめて欲しい。女性客の印象を悪くしないで欲しい。
書く人をもっと厳選して、飲むこと食べることに愛を持ってる人に書いて欲しかった。
何だかんだいっても私もはしゃぐタイプの飲みをしてきた。皆に迷惑をかけてきた。だから同族嫌悪かもしれない。私もこんなだったんだとおもうとゾっとしたよ。みんな今までごめんよ。
最後にこの本のタイトルとかをチェックする為にググッたところ、先生のサイトにたどり着いた。
先生曰く、今回の本を読めばこりゃ大変だったろうよと同情してくれること間違いなし!だそうです。
うん。サイトも色んな意味で読み応えがありました。
褒めるよりこんな書き方のほうが興味持つ人いるんだろうな。微妙にやだけどまあ・・・ね。
どうでもいいけど【ビバ☆オヤジ酒場-酔っ払いビジュアル系】てなんだ。いくらOLビジュアル系で売れたからってありなのかよ。
ご清聴ありがとうございました。
浜口及理子の爪の垢でも煎じて飲め。という感じですな。
空気を読みましょうという事ですね。
浜口及理子の【ノンポリ】だったけ?読んだよ。大分面白くなってきてたよ。前は西原理恵子臭が酷かったけど、大分オリジナルになってきてたよ。まだちょい西原っぽかったけど。
ムニちゃんあんた何様やねん。
そうそう。「空気を読みましょう」とか。「郷に入れば郷に従え」ってところだすな。
まあ一番従わないの自分なんだけどな。だめじゃん。