ぷっちん日記
2012-02-29 (水) 会社をやるということ [長年日記]
■ 会社をやるということ
私は2007年4月に株式会社万葉という会社を友人と二人で設立して、以来、社長という立場で「会社を経営」し続けている。
正直なところ、さして立派な社長ではないと思う。しかし、ともかくも一応もう5年くらい「自走」しているわけなので、最悪の部類ではないと思う。というか願っている。
それで、会社をやっているとさすがに色々と勉強になって、見えてくるものがある。モヤモヤもする。そういうのをぼちぼちと日記に書いていこうかな、なんて思ってきた。前からそんな気分はあったのだが、
- 時間がない
- 批判が怖い - 批判も怖いし、自爆も怖い
- 社員があらぬ不安を抱いては困る
というような理由で、踏み出していなかった。しかし、色々なことを考えたり気づいたりしているのなら、それを書いていくのは悪くないと思うので。
とりあえず今日は、「会社をやっているとき、地面は止まっていない」ということを書こう。
会社には「会社を大きくするか、《そのまま》でいくか」という選択肢は本当はない。これは、自分で会社をやってみるまで分からなかったことの一つだ。
「そのまま」という部分がポイント。人数、資本、事業規模を現状と変えないで過ごす、ということが「そのまま」であると、昔は自然に思っていた。ところが、実際にはそうではない。人間は年を取る。お金には利子がつく。人数や資本や事業規模を変えない、ということは「そのまま」ではなくて「ゆるやかな後退」なのであると気づいた。例えるなら、流れのなかで、流れてゆかずに敢えて意志を持って立ち続けているような感じだ。
私と専務は、会社を立ち上げるときに、「無理に大きくしない」「堅実にやる」という合意をしていたが、実際に会社をやってみると、私たちの求めていた堅実とは、人数等を変えない「そのまま」ではなかったことに気づいた。巨大なモーターで流れを10倍くらいにして爆走する気はもともとないが、流れに逆らって立ち続け、実質的に後退する道も選びたくない。ゆるやかに流れていくのが気持ちいい。流れのままに少しずつ大きくなるのが、私たちの求めていた「そのまま」なのだなと思った。
会社には「会社を大きくするか、《そのまま》でいくか」という選択肢は本当はないと書いた。その意味は、実際は「会社を大きくするか、後退するか」しかないのではないかということだ。
もちろん、必要なときは後退もする。大きくするのが良くて、後退は悪いことである、などというつもりはまったくない。それは選択に過ぎない。一番自分にとって衝撃的で、書いておきたかったのは、会社は作ったときから流れの上にあり、止まっている状態は作れないということ。
ちなみに、このことにはっきり気づいたのは昨年、震災の後に耐震性の良い事務所に引っ越すかどうかの判断を迫られた時だ。経営的には悩ましい状態だったが、引っ越さないことも「とどまる」という意志表示であることに気づいた。悩んだ末に引っ越した。その結果が出るのはもう少し先だろう。