2015|10|
ぷっちん日記
2006-08-18 (金) 『喪失の国、日本』 [長年日記]
■ 久々のヒット
グイン新刊を買うために立ち寄った本屋でぱっと目に入り、たまたま開いたページをちょっと読んだだけで、確信を持って購入した本。
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これは、すごい・・・・・・。
あまりの洞察の鋭さ、思考の深さ、そして全体を流れる品のよい文学性に圧倒されてしまった。その日の夜に夕食を放置して読みふけりそうになったが、そこは何とか断ち切って途中まで読み、翌日は出張なので新幹線で夢中で読みふけって二日で読んだ。夢中でといっても、非常に繊細でどこを読んでもすごいので、私が急いで読む時としては珍しいくらい丁寧に読んだ気がする。
内容は、インド人の目から見た日本という体験記だが、体験記につきものの、面白おかしいで終わるとか、底の浅い文化論にちょっと首をひねってしまうといった読後感がまったくない。文化論はどれも非常に興味深いし、面白おかしくとも文章には著者の人柄がにじみでていて好感が持てるし、非常に知的だ。中には「金閣寺」論まである。そして、旅行記の体裁ではあるのだが、それを通じて、外国滞在を通じていろいろ考えたことで、かえって、自国、家族、そして自分に出会い、そして人生のあり方を選択する、という著者自身の体験が強い印象を与える。また、全体を通じて漂う静かさ、生真面目さ、美しさにあこがれを抱く。
ありていにいえば、もう、私、著者にめろめろです・・。
私の年間ベスト5入り間違いなし!
ということで、ご紹介でした。