ぷっちん日記
2008-09-05 (金) 人に聞くときのコツ [長年日記]
■ 人に聞くときのコツ
コミュニケーションのスキル不足で失敗している人というのが世の中にはいる。スキルの問題なので、原理がわかればうまくいくはずだ。
その手の失敗症例をたまにメモっておこうと常々思っている。
そこで、今日は「動機を話さないで結論を手早く得ようとする」症例について書いてみよう。ITっぽい現場を例にとっているが、おそらく業界に限ったことではないだろう。
だめな例)
「すみません、あの機能にこれこれする方法ってなかったでしたっけ。探したんですが見つからなくて」
よい例)
「すみません、○○さんからあの画面でこれがしたいって要望が出たんで、あの機能にこれこれしたらいいかなと思っているんですが、なにか方法はありますか?」
(解説)
だめな例をしてくる人はもしかしたら次のようなことを思っているのかもしれない。
- 手短に質問しなければいけない。
- 日常的に、自分がすでにわかったことや、判断したことについては他人にあまり言わない習慣がある。相手は特にそれを知る必要はないと考えている。
- 背景となっていることを話すとそこに突っ込まれて立場が悪くなったり、効率よく会話ができないので、言いたくない。
まず、こういった質問をするときは、問題解決の中の一部について相手の力を借りようとしているわけだが、問題解決というのはそもそも広い領域なので、その質問をするに至った選択がベストでないということがある。熟練した相手なら、聞かれたこと以降の領域について目を向けるのではなく、聞かれた背景も含めてベストの問題解決を提供しようとする。従って、質問のときは、相手の知らない背景についても話すことが結局は効率的なのだ。
それに、好感度の上でも違いがある。だめな例では、「あなたはこれにだけ答えてくれればいいのだ。あとのことは私が決めてますからあなたは必要ありません」という無礼なメッセージが伝わってしまう。よい例のほうでは、「もっと広い意味でもアドバイスを歓迎しています」という姿勢を伝えることができる。
わるい例で質問してくる人は、概して、自分がそこまで無礼なメッセージを発しているとは気づいてない。むしろ、「あとのことは自分で考えており迷惑をかけないようにした」ということで、有能さを相手にアピールできたという意識かもしれない。実に勿体ないことだと思う。
ついでにいえば、聞くほうにはこんな姿勢が求められる。
だめな例)
「ああ、〜〜を使えばいいんじゃない」
よい例)
「〜〜を使えばできるけど、そもそもなんでそうしたいの?」
よい例はその後、「ほかの機能でやったらどうか」「そもそもその要望をかなえてはダメでないか」などといった別の解決も視野にいれて話を発展させていく。結果的に、質問者の意図どおりの方法がベストだという合意に至ったとしても、無駄ではない。ここでレビューができたことで、細かい漏れに気づくきっかけにもなるし、情報共有が進んでそれ以降の仕事がやりやすくなる。